太陽光の反射を抑えたメガソーラー、関西国際空港の滑走路脇に完成:スマートシティ
関西国際空港にある4000メートルの滑走路の脇に建設していたメガソーラーが完成して、2月1日に運転を開始する。発電能力は11.6MW(メガワット)に達し、大阪府で最大の規模になる。航空機の運航に影響を与えないように、太陽光の反射を抑える発電パネルを採用した。
大阪湾に浮かぶ関西国際空港は全体で1000万平方メートルを超える広さの埋立地だ。その敷地内にある長さ4000メートルの「B滑走路」に並行する誘導路に沿って、5万枚以上の太陽光パネルが敷き詰められた(図1)。
さらに空港内の建物の屋根にも同じ太陽光パネルを設置して、合計で11.6MW(メガワット)の発電能力を発揮する設備が完成した。2月1日に運転を開始する予定で、年間に1200万kWhの発電量を見込んでいる。一般家庭で3500世帯分の使用量に相当する。面積の狭い大阪府内で最大になるだけではなく、空港内の太陽光発電設備としてはアジア全域で最大の規模になる。
関西国際空港には2本の滑走路があり、このうち2007年に完成したのがB滑走路である。B滑走路に並行して同じ長さの誘導路があり、その南側の細長い土地に太陽光パネルを設置した(図2)。敷地面積は9万6000平方メートルに及び、同時に太陽光パネルを設置した建物の屋根などを加えると12万平方メートルの広さになる。
空港を運営する新関西国際空港が土地や建物を提供して、太陽電池メーカーのソーラーフロンティアと政府100%出資の日本政策投資銀行が共同で発電事業を担当する。ソーラーフロンティアは独自開発の「CIS薄膜太陽電池」を搭載した太陽光パネルを使って、パネル面の光の反射を抑えた。反射光が航空機の運航に影響を与えないようにするためである。
発電事業に加わった日本政策投資銀行は2013年3月に約1500億円の資金を投入して「競争力強化ファンド」を創設した。このファンドは日本の産業競争力を強化する目的で、新規事業に伴うリスクマネーを供給する。その投資案件の第1号が関西国際空港のメガソーラー事業だ。海外に向けて日本の太陽電池産業の優位性をアピールする狙いがある。
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