小売電気事業者の販売チャネル、代理店・取次店の業務をどう支援するか:電力自由化で勝者になるための条件(9)
幅広い顧客をターゲットにする電力の小売事業では、代理店や取次店を活用して効率よく販売活動を展開することが競争力を左右する。どの範囲まで外部に委託するかによって、業務の内容や仕組みは違ってくる。販売店の実績管理から請求処理まで、小売電気事業者が対応すべき業務は数多い。
連載第8回:「電気料金の見積もりが成否を分ける、高圧と低圧で異なる戦略」
小売電気事業者の中には販売チャネルを保有していない事業者も存在する。このような場合には、代理店や取次店に対して販売活動の代理・取次を依頼して事業を組み立てることになる。対面販売を含めて受付から顧客管理・請求業務までを委託するケースや、販売面だけを委託してバックエンドの業務は事業者が担うケースなど、いろいろな形態がある(図1)。
代理店・取次店でスイッチング(契約変更)のオペレーションを実施する場合には、送配電事業者や広域機関(電力広域的運営推進機関)とやり取りが必要な業務のほか、料金計算なども小売電気事業者側で滞りなく処理する仕組みが重要である(図2)。さらに販売店ごとの実績把握や手数料の管理、各販売店の卸料金の計算などがあり、直販の場合には必要のない業務の仕組みも構築しなくてはならない。
手数料の考え方は代理店・取次店との関係や顧客ターゲットによって違いがあり、以下のような体系が考えられる。
1.需要家の使用量に応じた手数料(例えば1kWhあたりX円)
2.料金メニューに応じた手数料
3.契約件数に応じた手数料
4.需要家料金と卸料金との差額による手数料
5.季節別時間帯別の料金に応じた手数料
6.電力会社の料金との差額に応じた手数料
請求業務においては、小売電気事業者と販売店の間は月ごとに一括か数回で処理するようにして、回収リスクを減らすことが望ましい。需要家への請求・回収業務は販売店の責任となるため、小売電気事業者には需要家向けの請求と代理店向けの請求の両方を計算する仕組みが必要になってくる。
現状では小売電気事業者が販売店を囲い込む戦略の一環で、請求業務の仕組みやシステムを提供するケースも増えている。今後さらに自由化が激化した場合には、販売店の獲得合戦が起きないとも限らない。代理店・取次店がスムーズに業務を実施できる仕組みを提供することも競争のうえで重要になる。
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