官民連携で広がる太陽光と小水力発電、原子力を代替する災害に強い電源:エネルギー列島2016年版(25)滋賀(3/4 ページ)
滋賀県では2030年までに再生可能エネルギーとコージェネレーションで電力の自給率を30%以上に高める構想を推進中だ。琵琶湖の周辺に太陽光発電と小水力発電を拡大して災害に強い社会を作り上げる。市民の出資による太陽光発電や、農業用水路に展開する小水力発電が続々と運転を開始した。
ダムや川の水流でも小水力発電を増やす
滋賀県が実施する小水力発電プロジェクトの中には、ダムを利用した規模の大きいものもある。琵琶湖の東側10キロメートルほどの場所にある「姉川(あねがわ)ダム」で建設工事が進んでいる(図8)。県が運営する治水用のダムで、季節に合わせて農業用水を供給する目的にも使われる。
高さが80メートルあるダムの堤体の上部から発電所まで、放流管を敷設して水を取り込む方式だ。水流の落差は50メートルに達する。この大きな落差を生かして発電能力は900kWになる。2016年12月に運転を開始する予定で、年間の発電量は470万kWhを想定している。一般家庭の1300世帯分に相当する電力を供給できる。
同じ姉川の支流では、ひと足早く「足俣川(あしまたがわ)小水力発電所」が2016年9月に運転を開始した。川の上流に設けた取水口から林道に沿って水圧管を埋設して、下流にある発電所まで水を送り込む(図9)。この間に水流の落差は93メートルになる。
ダムと比べると水量は少なく、発電能力は194kWである。年間の発電量は147万kWhを見込んでいて、一般家庭で400世帯分に相当する。100メートル近い大きな落差を生かせることから、水車発電機には大規模な水力発電所で一般的に使われている横軸フランシス水車を採用した(図10)。
この小水力発電所は全国にメガソーラーを展開するクリハラントが建設・運営している。滋賀県内の河川に導入した小水力発電設備では初めて固定価格買取制度の適用を受けた。年内に稼働予定の姉川ダムの小水力発電所と合わせると、立地する米原市の総世帯数(1万4000世帯)の1割以上をカバーできる。
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