電気自動車とオフィスを提供する実証実験、豊田市で開始:スマートシティ
トヨタ自動車の本社がある愛知県の豊田市で、電気自動車を使ったユニークな実証実験が始まった。市内を訪れるビジネスパーソンに超小型の電気自動車を貸し出すのと合わせて、サテライトオフィスを提供して会議や商談に利用してもらう試みだ。12月25日まで実施して効果を検証する。
豊田市は愛知県のほぼ真ん中に位置する人口40万人余りの都市で、トヨタ自動車の企業城下町として数多くの製造業が立地している(図1)。2012年に低炭素社会のモデル地区「とよたecoful town(エコフルタウン)」が市の中心部にオープンした。
このエコフルタウンの中には超小型の電気自動車を貸し出すカーシェアリングサービス「Ha:mo RIDE(ハーモライド)」の拠点があり、市外からの訪問者に地域の交通手段として提供している(図2)。
新たにトヨタ自動車がエコフルタウンの施設を活用して、「Ha:mo スペース」と呼ぶサテライトオフィスの実証実験を11月7日に開始した。カーシェアリングサービスの利用者を対象に、エコフルタウンにあるレストランやカフェを共用のオフィススペースとして開放する試みだ。
豊田市内の会社を訪れるビジネスパーソンに向けて、交通手段と合わせて会議や商談に利用できる場を提供する。レストランでは電源コンセントや無線通信のWi-Fiを無料で使えるようにするほか、地域の農作物を生かした食事のメニューを用意して地産地消を促進していく(図3)。
「Ha:mo スペース」を利用するためには、スマートフォンのアプリからカーシェアリングの車両を予約したうえで、レストランやカフェではアプリの画面に表示した利用者用のIDを見せるだけでよい(図4)。利用者には飲食の割引サービスなどの特典もある。
トヨタ自動車は「Ha:mo スペース」の実証実験を12月25日まで実施して効果を検証する予定だ。豊田市を訪れたビジネスパーソンの滞在時間が長くなり、事業活動も円滑に進むなどの好影響が生まれることを期待している。合わせてCO2(二酸化炭素)の排出量を抑えた低炭素な生活や交通を体験できる先端的な都市としてアピールする狙いがある。
エコフルタウンには「Ha:mo スペース」として利用できるレストラン「ホガラカ」の周辺に、カーシェアリングサービスの貸出拠点である「スマートモビリティパーク」や燃料電池車用の水素ステーションもある(図5)。カーシェアリングで利用できる超小型の電気自動車はトヨタ車体が製造・販売する「COMS(コムス)」で、1人乗り用と2人乗り用を選べる。
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