風力発電の天敵、落雷の検知をより高精度に:蓄電・発電機器
日本で風力発電設備を運営していく上で、避けられないのが落雷対策だ。ブレード破損や火災などにつながる可能性もある。NEDOはこうした落雷を検知する装置の高度化を目指し、評価技術の開発に着手する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年11月11日、風力発電設備を対象とする雷検出装置などの評価技術開発に着手すると発表した。風力発電設備への落雷を検出する雷検出装置の所要性能の検討、接地システムの健全性確認技術の開発、雷リスクマネジメント方策の取りまとめを実施し、落雷時の風車の停止時間低減し、発電設備の稼働率向上を目指す(図1)。
日本における風力発電設備は、落雷に起因する被害が多数発生しており、落雷対策は大きな課題の1つになっている。現在は落雷の可能性が高い地域に風車を設置する際には、雷検出装置や非常停止装置の併設が義務づられている。落雷によるブレード破損や火災事故などは、被害の拡大を防ぐためにも早期の対策が求められるためだ。
一方、雷検出装置にて適正に落雷を検知できなければ、風車に被害をおよぼすような落雷が発生しても、風車は運転し続けてしまう。結果的に大きな事故につながる場合もある。また、風車に影響を及ぼさない落雷を検出してしまい、必要以上に運転を止めることで、風車の稼働率が低下してしまうという点も懸念されている。
そこでNEDOでは同事業において、雷検出装置の評価手法を確立するよう、雷インパルス波形試験、交流電源を用いた周波数特性評価、長波尾電流による評価などを行い、雷検出装置の所要性能の検討していく。加えて接地システムの健全性確認方法の開発、雷リスクマネジメント方策の取りまとめ、新しい雷検知技術の開発を目指す。
委託先は日本海事協会、中部大学、電源開発の3者。事業期間は2016〜2017年度となっている。
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