2人乗り電気自動車とローカル鉄道の観光実証、産学官の連携で始まる:スマートシティ(2/2 ページ)
超小型の電気自動車を活用してCO2排出量の削減に取り組む動きが全国に広がってきた。岐阜県では長良川に沿って走るローカル線と組み合わせた観光実証事業が11月20日に始まった。鉄道の駅を起点に周辺地域を電気自動車でめぐることができる。1時間1000円の利用料金で12月下旬まで実施する。
次世代のエネルギー産業を岐阜県に
岐阜県が長良川鉄道などと共同で始めた観光実証事業は、ローカル線を利用しながら駅の周辺の観光地を超小型モビリティでめぐる社会実証の位置づけだ。長良川鉄道の始発駅である「美濃太田駅」まではJRで行くことができるほか、超小型モビリティを貸し出す関駅には名古屋・東京・岐阜から高速バスが通っている(図4)。
鉄道やバスといった公共交通機関を使って関駅まで到着した後は、超小型モビリティを借りて周辺の観光地を見て回ることができる。関市は古くから刃物の生産地として知られる地域で、市内には日本刀を鍛錬する実演場などがある(図5)。春から秋にかけて長良川の鵜飼を見られることでも有名だ。
超小型モビリティの利便性を生かして観光地の活性化を図る。貸出期間は12月27日(火)までの午前9時〜午後4時だ。事前にウェブサイトか電話で予約する必要がある(図6)。1時間あたりの利用料金は1000円で、最長3時間まで予約できる。駅を起点にして短時間で効率的に観光地をめぐる用途に適している。
岐阜県は新たなエネルギー産業の創出を目指して、2014年に「岐阜県次世代エネルギー産業創出コンソーシアム」を設立した。大学などの研究機関が保有する技術と県内企業のニーズを組み合わせながら、次世代のエネルギー技術の開発・製品化を産学官の連携で支援する取り組みだ。
現在までに県内外の企業や自治体など39団体が参画して、小型風力発電システムや水素製造装置の開発を推進中だ(図7)。超小型モビリティによる観光実証もコンソーシアムのプロジェクトの1つになっていて、県が補助金を交付して事業化を支援する。
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