晴れの国に太陽光発電所が続々と誕生、ゴルフ場の跡地や池の水上にも:エネルギー列島2016年版(33)岡山(4/4 ページ)
岡山県では降水量が少ない利点を生かして太陽光発電の導入が活発だ。閉鎖したゴルフ場に建設した巨大なメガソーラーや、干拓地に設けた池の水上でも太陽光発電が始まった。水道設備を利用した小水力発電に取り組み、林業や製材業と連携した木質バイオマスの活用も進んでいる。
木質バイオマスを発電のほかに熱でも利用
岡山県の再生可能エネルギーは太陽光発電を中心に、小水力発電とバイオマス発電の導入量が増えている(図13)。バイオマスの分野では地域の間伐材を利用した取り組みが広がってきた。
中国地方を横断する山岳地帯のほぼ真ん中に位置する真庭市では、地元の製材会社や森林組合を中心に木質バイオマスの利用拡大に力を入れている。全国でも先進的な事例として知られる「真庭バイオマス発電所」が、10MWの発電能力で2015年4月に運転を開始した(図14)。
このバイオマス発電所では周辺地域の森林で発生する間伐材のほかに、製材所から出る端材も燃料に利用する。合計で年間に15万トンの木材を利用して7920万kWhの電力を供給できる。2万2000世帯分に匹敵する電力になり、真庭市の総世帯数(1万8000世帯)を上回る。
発電所は産業団地の中に立地して、団地内には製材工場が数多く集まっている。木材の集積基地や燃料の木質チップを製造する工場も稼働中だ。木材の調達から燃料の製造、発電までの一貫体制を整備した。市内のバスツアーのコースに組み込まれて、「バイオマスタウン真庭」の観光面でも貢献する。
木質バイオマスの活用は発電だけにとどまらない。大手建材メーカーの大建工業は岡山市にある主力の製材工場で、木材の乾燥工程に木質バイオマスのエネルギーを利用している。建設物の廃材を木質チップに加工してボイラーの燃料に利用する。ボイラーで高温の蒸気を発生して木材を乾燥させる方法だ。
2007年に1基目の木質バイオマスボイラーを導入したのに続いて、2016年7月に2基目のボイラーを稼働させた(図15)。工場全体のCO2(二酸化炭素)排出量を削減する取り組みの一環で、従来のLNG(液化天然ガス)を燃料に利用するボイラーを廃止して再生可能エネルギーに転換した。
大建工業はグループ会社を含めて全国各地の工場に木質バイオマスボイラーの導入を進めている。岡山工場に増設した木質バイオマスボイラーが稼働したことで、グループ全体の工場で消費するエネルギーの47%を再生可能エネルギーに転換した。バイオマスは発電に加えて同時に熱を利用できる効果も大きい。
2015年版(33)岡山:「バイオマス産業都市の先駆けに、中国山地で発電と観光を両立」
2014年版(33)岡山:「酪農の街に木質バイオマス、塩田やゴルフ場には巨大メガソーラー」
2013年版(33)岡山:「全国平均よりも16%多い発電量、太陽光を5年間で3倍に増やす」
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