人工知能で電力需要を予測、7日間先までを30分単位で:電力供給サービス
丸紅新電力日本気象協会は新しい電力需要予測システムの実証試験に着手する。丸紅新電力の電力小売事業で培ってきた需給調整力と、日本気象協会の予測ノウハウ、気象分析、最新の人工知能を融合させた独自の電力需要の予測技術を活用し、7日間先まで30分に電力需要を予測できるという。
丸紅新電力(東京都中央区)と日本気象協会は、2017年2月1日から新電力需要予測システムの実証試験を開始すると発表した(図1)。
電力需要は、気温や雨などの日々の気象条件や温暖な地域と寒冷な地域などの気候条件により、その傾向が大きく変化する。このため、電力需要を精度よく予測するためには、こうした傾向の変化や違いを的確に捉え、電力需要構造を理解することが重要となる。
そこで、丸紅新電力と日本気象協会は、電力需要予測自動化の精度向上を図るため、丸紅新電力が過去16年間に電力小売事業で培ってきた需給調整力と日本気象協会の予測ノウハウ、気象分析、人工知能技術を融合させた独自の電力需要の予測技術を融合し、今回の電力需要予測システムの構築を実現した。同システムの予測内容は地域の電力会社エリアごとの電力需要量で、予測時間は7日間先まで30分ごと(当日の実績データによる補正あり)となっている。
電力小売事業は2000年から始まった部分自由化から2016年4月の完全自由化まで大きく変革しており、丸紅新電力の利用者も、地域や業種の多様性が増してきているという。そこで、新電力需要予測システムでは、直近の電力需要実績データを自動で解析するなど、今後の電力需要の変化にも対応している。
丸紅新電力と日本気象協会は、双方の経験と技術を生かして、引き続き電力需要予測システムを発展させ、より高い精度の予測を目指す方針だ。
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