1.5万世帯分を発電する静岡県最大のメガソーラー、浜松市の再エネ戦略を加速:太陽光(3/3 ページ)
静岡県浜松市と湖西市にまたがる浜名湖。うなぎの養殖などで知られるこの湖の側に、SBエナジーと三井物産が運営する県内最大級のメガソーラーが完成した。出力は43.4MWで、年間発電量は約1万5000世帯分を見込んでいる。太陽光発電の導入量で全国トップを走る浜松市の再生可能エネルギー戦略を大きく推し進めるメガソーラーだ。現地を取材した。
浜松市のエネルギー戦略が大きく前進
浜松市は2013年に長期的なエネルギー政策の方針を示す「浜松市エネルギービジョン」を策定した。再生可能エネルギーと自家発電設備の導入により、電力自給率を2011年度の4.3%から2030年度には20.3%に高める計画だ。再生可能エネルギーについては、2011年度時点の導入量である15.5万MWhから、2030年度までに5.1倍の79.5万MWhまで高めるという目標を掲げている。
このうち、太陽光発電の導入量については出力ベースで同44MWから496MWに、発電量は同5.1万MWhから57.4万MWhまで拡大させる計画である。先述した通り既に2016年8月時点で導入量については300MWを突破しており、単純計算で今回の浜松中開ソーラーパークの稼働でさらに43.4MWが加わったことになる。また、同発電所の年間発電量は5万3924MWhを見込んでいるため、順調に稼働すれば2030年度の発電量の目標値の約1割を担う計算だ。
浜松中開ソーラーパークの開所式に登壇した浜松市 市長の鈴木康友氏は「これまで『太陽光発電の導入量で全国1位』を目指し、それを実現した浜松市に、静岡県で最大というシンボリックなメガソーラーが完成したことを非常に嬉しく思う。浜松中開ソーラーパークだけで、2030年度のエネルギー自給率目標の1.1%をまかなうことができる。今後はメガソーラーに加え、風力やバイオマスなどの他の再生可能エネルギーの導入にも積極的にチャレンジしていきたい」と語った。
発電所の共同運営事業者であるSBエナジーにとって、浜松中開ソーラーパークは北海道勇払郡安平町の「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」(出力111.0MW)に次いで、同社が手掛けた中で2番目に大きなメガソーラーになる。静岡県内では2カ所目のメガソーラー案件だ。SBエナジーの取締役副社長を務める藤井宏明氏は「今後も浜松市と協力しながら、太陽光発電を活用した非常用電源や街路灯の設置などを進めていく」と今後の計画を語っている(図5)。
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