電気料金を電力会社より15%安く、楽天が取引先に提供:電力供給サービス(2/2 ページ)
楽天はグループの取引先を対象に、年間の電気料金を15%割り引くキャンペーンを開始した。複数の小売電気事業者を組み合わせて料金を削減する「iシェアリングサービス」の新規加入者に提供する。利用者が購入した1kW分の料金を森林整備に生かしてバイオマス発電の燃料も増やす。
家庭・商店向けに「まちでんき」
楽天は家庭・商店向けの電力小売事業にも力を入れる。2016年4月から小売全面自由化に合わせて「まちでんき」を開始した。提供エリアは北陸・四国・沖縄を除く全国7つの地域で、家庭向けの「スタンダードプラン」と事務所・商店向けの「プレミアムプラン」の2種類がある(図6)。
2つのプランともに電力会社の標準メニューである「従量電灯」と比べて、月額固定の基本料金を高く設定する代わりに、毎月の使用量に応じて課金する「従量料金(電力量料金)」の3段目の単価を低く抑えた。東京電力のエリアでは3段目の単価が3〜4円程度安くなる(図7)。
このため毎月の使用量が多い家庭や商店の場合に電気料金が安くなる。標準的な家庭(契約電力30アンペア、月間使用量300キロワット時)で比較すると、月額の電気料金は東京電力(従量電灯B)の7837円に対して、「まちでんき」は8242円と高い。戸建住宅などで契約電力が50アンペアと大きく、月間使用量も2倍の600キロワット時になると、月額で1092円の割安になる(図8)。
今のところ「まちでんき」のメリットを料金面で享受できるのは、電力の使用量が多い家庭や事務所・商店に限られる。楽天は「まちでんき」の顧客獲得にも既存事業と相乗効果を生み出す狙いだ。全国に8000万以上の会員を抱える「楽天スーパーポイント」と組み合わせて利用者の拡大を図る。
「まちでんき」を利用すると、使用量10キロワット時ごとに1ポイントが貯まる。企業の場合には2倍の2ポイントになる。さらにクレジットカードの「楽天カード」で電気料金を支払うと、100円ごとに1ポイントが貯まる仕組みだ(図9)。
2月6日から「まちでんき」の新規加入キャンペーンも開始した。契約電力によって1000ポイントか2000ポイントを付与する。貯めたポイントは楽天グループの商品・サービスの購入時に1ポイントを1円として利用できるほか、提携先のポイントに交換することも可能だ。楽天が展開する「楽天経済圏」を電力の小売事業に生かす。
関連記事
- 電力とガスにも「楽天スーパーポイント」、小売自由化で提携拡大
インターネットを使ったサービスと組み合わせてエネルギー事業の拡大を図る楽天がLPガス事業者と提携する。開発中のHEMSを利用した新サービスを展開して、電力とガスを合わせて顧客を獲得する計画だ。全国に9977万人の会員を擁するポイントプログラムを生かして電力会社に対抗する。 - 森林率が79%の市にバイオマス発電所、2万4000世帯分の電力を7月から供給
日本海に面した島根県の江津市で大規模な木質バイオマス発電所が完成して、7月1日に運転を開始する。地域の森林から生まれる未利用の木材を中心に年間で11万5000トンの木質バイオマスを利用する計画だ。市の総世帯数の2倍以上にあたる2万4000世帯分の電力を供給することができる。 - 電気を使うとポイントがたまる、東京電力が2016年1月に新サービス開始
東京電力は全国に7000万人の会員を抱えるポイントサービス「Ponta」と提携することを決めた。2016年1月にサービスを開始する。電気を使うとポイントがたまるプログラムを提供して小売全面自由化でも競争力を発揮する狙いだ。インターネットを使った情報提供ではリクルートと連携する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.