住宅太陽光で攻めるLooop、90万円を切る蓄電池と新料金プランを発表:太陽光(2/2 ページ)
Looopは住宅太陽光発電システムを導入している家庭向けの新料金プラン「Looopでんき+」を発表した。余剰買い取りの卸先をLooopとすると、従量料金単価を割引く。さらに税別90万円を切る住宅用の蓄電池も発表した。サービスと製品の両面で、太陽光発電を基軸とした同社の事業展開を加速させる。
オリジナルの家庭用蓄電池「Looopでんち」
住宅用の太陽光発電システム市場では、産業用に先じて“FIT終了後”を見据えた動きが進んでいる。住宅用太陽光の余剰売電の買い取り期間は、設置から10年だ。そのため、2019年度以降から、余剰買い取り期間が終わる住宅太陽光発電システムの数が一気に増えていく見込みである。
こうした市場予測を受けて、家庭用の蓄電池市場に注目が集まっている。これまで売電していた電力を蓄電し、住宅のエネルギーとして有効活用する自家消費モデルにシフトしていくユーザーの増加が見込まれるからだ。Looopは電気料金の新メニューとともに、こうした展望を見据えた戦略商品として、新たに住宅用の蓄電池「Looopでんち」も発表した。
Looopでんちの特徴は大きく2つある。1つが価格を安価に設定した点だ。ハイブリッドパワコン、コントローラーなどを含む蓄電池システム一式の価格は税別89万8000円。100万円を切る価格を実現した背景には、電池容量を4.0kWh(キロワット時)に抑え、製品原価を切り詰めた点が寄与している。開発にあたり、NEDOの助成を受けてLooopが市場調査・検証を行ったところ「4.0kWhの容量でも十分に住宅の太陽光発電システムで発電した電力を有効活用できる」(同社)と判断した。
もう1つが、双方向通信システムの搭載により、蓄電池の運転モードを自動制御する機能を加えた点だ。Looop インフラ事業本部 企画開発部長の堤教晃氏は、現在の住宅用蓄電池の課題として「価格が高いことに加えて、制御のパターンが固定的であり、さらに制御モードを切り替えるための設定を手動で行わなくてはいけないものが多い。つまり、有効活用されていないい場合が多い」と指摘する。
そこでLooopでんちでは、その日の状況に応じて、蓄電池の充放電などを自動制御する機能を搭載した。蓄電池をインターネット回線で人工知能システムと接続し、導入した住宅の状況に併せて最適に充放電制御を行い、電池容量を無駄なく活用できるとする。Looopのこれまでの事業で培った太陽光の発電量予測や需要予測のノウハウ、天気予報などのビッグデータを活用しているという。
こうした機能により、導入の際には月額900円の通信費が発生するが、2017年6月末までに申し込んだユーザーは、初年度の通信費を無料にするキャンペーンも実施する。販売の受け付けは2017年4月11日から開始し、将来はLooopでんちとLooopでんき+を組み合わせ、電気と蓄電池によるセット割サービスも提供していく方針だ。家庭用蓄電池の導入補助金が減少している中で、ユーザー側の導入メリットを高めていく狙いである。また、Looopでんき+では、蓄電池以外の他の製品との組み合わせも検討していく。
Looopでは産業用の太陽光発電所を対象に、発電した電力をFIT制度で定められている20年を超え、30年間にわたって買い取る「LooopFIT」というサービスも展開している。先述したように住宅太陽光では、産業用より早い時期からFIT制度による買い取り期間が終わる設備が多く発生する見込みだ。そこでLooopでは、このLooopFITによる電力の買い取りの対象を、住宅用太陽光にも広げていく方針だ。
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