岩手県八幡平に7000kWの地熱発電所、資源量を確認し開発段階へ:自然エネルギー
地熱電源開発を進める岩手地熱が、岩手県の八幡平に計画していた7000kW級の地熱発電所の建設計画が、開発段階に進んだ。JOGMECがこのほど計画発電量に必要な地熱資源量を確認した。JOGMECが岩手県が借り入れる建設資金の約80%相当を債務保証する。
JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は地熱資源探査出資対象である岩手地熱(岩手県八幡平市)が実施する地熱資源探査事業で、計画発電量に必要な地熱資源量が確認されたことから、このほど開発・発電段階に移行することを発表した。また、同事業を開発段階での地熱の採取に必要な資金に係る債務保証対象事業として採択した。
岩手地熱は岩手県松尾八幡平地域で、2012〜2014年度まで、JOGMECによる地熱資源開発調査事業費助成金の交付を受けて地表調査等事業および坑井掘削等事業を実施。2015年6月からはJOGMECの地熱資源探査資金出資対象事業として地熱資源探査事業を進めてきた。
今年2月、岩手地熱は地熱資源探査事業の結果、計画発電量に必要な地熱資源量を確認して開発・発電段階に移行すると同時に、7000kW(キロワット)級のシングルフラッシュ方式の発電所建設を決定した。また、それに伴う開発段階における建設資金の一部66億5300万円を長期借入により調達する予定だ。
JOGMECは優良な地熱資源の採取が認められることから、同借入総額66億5300万円の80%相当額を債務保証する予定としている。
同プロジェクトは、JOGMECの地熱資源開発調査事業費助成金制度、地熱資源探査資金出資支援、および地熱資源開発資金債務保証支援のすべてを活用した初の事例となるという。CO2排出量が少なく、またベースロード電源として安定的に発電可能であり、日本の重要な電源である地熱発電の増大に貢献することが期待されている。
なお、債務保証先会社(岩手地熱)の株主構成(2016年12月1日時点)は日本重化学工業14.44%、地熱エンジニアリング14.43%、JFEエンジニアリング28.86%、三井石油開発28.86%、JOGMEC13.41%となっている。
今後も、JOGMECは地熱資源開発の促進を図るため、国内で地熱資源開発を行う日本法人に対し、積極的な支援を行う方針だ。
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