NTNの新機軸、小さな風と水路を生かせる発電機:蓄電・発電機器
NTNは「WIND EXPO 2017」に出展し、農業・工業用水路などに設置できる小水力発電機や、開発中の小型風力発電機などを参考出展した。小水力発電機は春頃から、小型風力発電機は年内にNK認証を取得する計画だ。
NTNは「スマートエネルギーWeek 2017」(2017年3月1〜3日、東京ビッグサイト)内の「WIND EXPO 2017」に出展し、小水力発電機や開発中の小形風力発電機などを参考出展した。小形発電機器の需要拡大を見込み、新規事業として取り組んでいるエネルギー事業の柱としていく考えだ。
小水力発電機「NTNマイクロ水車」はプロペラ式で、農業・工業用水路に設置しやすいのが特徴だ。2本を梁(はり)を水路の幅に合わせて取り付け、その上に移動式クレーン車で発電機とプロペラ水車を載せるように設置する。水路に工事を加えること無く、1台当たり約1時間、5〜10万円程度の費用で設置できるという。一時的に水流をせき止める必要もない。
2016年の夏に発表した試作機から、発電機のデザインにも改良を加えた。出力0.4kW、1kW、1.7kWの3種類のモデルを用意し、2017年4月をめどに本格的に販売していく方針だ。価格は1kWのモデルで1台150万円が目安になるとしている。現在、土地改良区などを中心に提案を進めており、FITを活用して売電収益を得たいといったニーズが多いという。
小形の風車も開発中
小水力発電機の他、開発中の小形の風力発電機のカットモデルも参考出展した。2枚の尾翼を使った垂直軸型の風車で、出力は10kW級。稼働時の静謐性が特徴だという。2017年中にNK認証を取得する予定で「2018年の早いうちに販売を開始したい」(ブース担当者)としている。
なお、NTNでは小形の風力発電機と太陽光パネルを組み合わせた独立電源型のLED街路灯も販売している。自治体などを中心に引き合いがあるという。
関連記事
- 「水路で発電」を低コストに、3人で設置できるマイクロ水車
日本の各地に広がる用水路。規模は小さいものの、その水流を活用して発電する取り組みが広がっている。NTNは農業・工業用水路に設置しやすい、プロペラ式の小水力発電機を開発した。このほど福島県須賀川市の「新安積疎水」での実証を終え、2016年12月から販売を開始する予定だ。 - 落差1メートルの水路でも発電可能、設置も簡単な小水力発電機
協和コンサルタンツは新開発の用水路向けの小水力発電機の販売を開始した。同社独自開発の相反転方式を採用した発電機で、1メートルと小さな落差でも発電できるのが大きな特徴だ。 - 翼が円柱、新原理で中小型風車を革新
風車の翼の形は飛行機に似た形状を採る。このような常識を覆す風車「円柱翼風車」が登場した。開発したのは長岡技術科学大学の教授を務める高橋勉氏。中小型風車に向くという。特徴や用途を解説する。 - 360度全ての風が使えて低騒音、羽を縦に並べる小型風車で55円市場を開拓
FITの買取価格が55円と高水準に設定されていることも影響してか、「第4回 国際風力発電展」では20kW未満の小型風力発電設備が多く展示された。その中で日本の風力発電設備メーカーであるWINPROは、独自開発の垂直軸型の発電設備を披露。弱い風でも発電が可能しやすく、騒音が少ないなどのメリットがあるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.