被災地域の土地を有効活用――宮城県南部に2.25MWの太陽光発電が完成:太陽光
宮城県の「亘理・山元第2地区」で、発電容量2.25MW(メガワット)の太陽光発電設備が、2017年3月に完成した。防災集団移転跡地を有効活用した施設で、売電により得られる収入は、農業水利施設の維持管理費など、農業や農村の振興に活用される予定だ。
売電収入は、農業や農村の振興に活用へ
宮城県南部の太平洋沿岸に位置する亘理町(わたりちょう)の「亘理・山元第2地区」で、発電容量2.25MW(メガワット)の太陽光発電設備が、2017年3月に完成した(図1)。防災集団移転跡地を有効活用した施設となっており、発電した電力は全て電力会社に売電する予定。年間発電量は、20年間の平均値で189万7000kWhという。売電で得た収入は、農業水利施設の維持管理費に充てられるなど、農業や農村の振興に活用される。
導入したのは、三菱電機の3層構造PETフィルムを採用した太陽電池モジュール「PV-MGJ270CBFS」8344枚である。1枚当たりの最大出力は270W、変換効率は16.4%を実現。国内で開発、生産、品質管理まで行うことにより、25年間で出力劣化率は20%以内のリニア出力保証、10年間の瑕疵(かし)保証を実現したとしている。
プロテクションバーをモジュール背面に採用し、傾斜角22度以上に設置した場合1.5mまでの垂直積雪量に対応。3層構造PETフィルムを採用しただけでなく、フレームの取り付け部材にもメッキ処理を施したことで、塩害地域にも対応する。
農林水産省のWebサイトによると、亘理・山元地区は東日本大震災および津波により、排水路の損壊や排水機場内の機械設備が水没し、機能不全に陥った。約3500haの農地が海水につかり、東北一の生産を誇っていたいちごは、栽培面積の95%でハウスの流出や浸水被害を受けるなど、広域にわたり壊滅的な被害を受けたという。
宮城県は、農林水産省の農村地域復興再生基盤総合整備事業「亘理・山元地区」を推進し、農業振興のため太陽光発電設備の導入を決めた。太陽電池やパワコンなどのメーカーを決定するコンペを2014年10月に実施。3社が参加し、三菱電機が採択された。
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