NEDO、自然環境と社会環境情報も一元化した「洋上風況マップ」公開:自然エネルギー
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、洋上風力発電の設置場所を計画する上で必要な情報を一元化した洋上風況マップ(全国版)を公開した。NEDOのWebサイトから閲覧できる。
自然環境情報や社会環境情報も一元化
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、洋上風力発電の設置場所を計画する上で必要な情報を一元化した国内初の洋上風況マップ(全国版)をこのほど公開した。高精度の数値シミュレーションによる洋上の風況情報に加えて、洋上風力発電導入を検討する際に関係する日本近海のさまざまな情報を一覧的にまとめている。
洋上風力発電の事業を計画するには、適地検討のために、設置場所に関する多様な情報の収集が重要だ。風況が十分であるか事前検討の精度を上げるため、漁業関係者や航行関係者などと円滑な調整を行うには、風速階級別出現頻度(各風速が出現する頻度)と風配図(どの向きの風が強いかの傾向)の検討は不可欠である。また、各地域の特性を捉えるためには季節、経年変化など信頼できるデータと出典情報が必要となる。
NEDOは、これまでに陸域を対象とした風況マップを公開している。その風況マップに、日本近海を対象とした最新の高精度洋上風況シミュレーションを開発し、洋上風況マップ(全国版)に実装した。開発には、2015年度から2年間を要したという。事業計画検討のために、計画する洋上風力発電の設置予定場所の緯度経度と風車の出力特性を入力することで、発電電力量の簡易予測シミュレーションできる機能を設けている。
これらに水深や生物生態、海底地質などの自然環境情報、港湾区域や航路、史跡といった社会環境情報も一元化し、NEDOは「NeoWins(NEDO Offshore Wind Information System)」と名付けた。NEDOのWebサイトから閲覧可能である。
NEDOは「広範囲かつ高解像度の風況情報」「自然・社会環境情報」「発電量簡易予測」という洋上風力発電の適地の検討に必要な情報を一元化した同マップが、洋上風力発電事業を検討する事業者や自治体に、広く有効に活用されることを期待している。
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