スバルが国内初の落雷対策、大型蓄電池で電圧低下を防ぐ:蓄電・発電機器
自動車メーカーのSUBARUは栃木県にある研究センターに、大型のリチウムイオン電池を用いた蓄電池システムを導入した。落雷時に発生する瞬時電圧低下を防ぐことで、車両性能試験の中断防止や、ピークカットによる節電などに活用する。
SUBARUと東京電力エナジーパートナー(東京電力EP)の100%出資子会社である日本ファシリティ・ソリューション(JFS)は、4月1日から「スバル研究実験センター」(栃木県佐野市)で、瞬時電圧低下対策向けリチウムイオン蓄電池システムの運用を開始した。
瞬時電圧低下とは送電線などへの落雷により電力系統で不具合が生じた際に、送電する電力の電圧が瞬時に低下する事象のこと。これに伴い、利用者の構内の電圧低下の影響を受けやすい機器が停止する場合がある。
今回の取り組みは、送電線などへの落雷に伴う瞬時電圧低下の発生時に、JFSが同センターに設置した4800kW(キロワット)相当の大容量リチウムイオン蓄電池システムから放電することにより、車両の性能試験中断などを防ぐ。
SUBARUによると、大容量リチウムイオン蓄電池システムを瞬時電圧低下対策に活用したエネルギーサービスは国内初だという。東京電力EPは同サービスの技術支援を行っている。
スバル研究実験センターでは、車両の安全性能や走行性能の向上を目指し技術開発の強化を進めている。そのため、電力需要の増加が予定されているが、同システムを活用しピークカット運転することで、最大電力の上昇を抑える狙いもある。
JFSは2000年12月に、ESCO(効果保証付き省エネルギーサービス)を事業の主軸として設立された。現在はエネルギー供給サービス、エネルギーマネジメント、エネルギーコンサルティング、省エネ関連機器システム販売などへ事業分野を拡大している。
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