きっかけは焼き鳥屋、Looopがネット広告企業と手を組む:太陽光
Looopは2017年3月にアイモバイル、GOLDEN ASIA FUND IIから、第三者割当による新株式発行で計4億1860万円を調達した。アイモバイルとは資本業務提携を行い、電力小売事業を拡大するアプリの開発、開発したアプリにおける広告配信サービスの提供を進めるという。
アイモバイルとの資本業務提携
東日本大震災をきっかけに生まれたエネルギーベンチャー企業のLooop。再生可能エネルギーの普及を目指し、太陽光発電システムの開発、販売、設置や電力小売事業を積極的に展開している。低圧向けには、2016年3月に基本料金無料の「Looopでんき」を発表。申し込み件数は、開始から1年間で約4万件に及んでいるという。
そのLooopが次なる成長に向けて、新たな舵を切った。2017年3月にインターネット広告事業を展開するアイモバイル、ベンチャー投資ファンドのGOLDEN ASIA FUND II(GAファンド)に対して、第三者割当による新株式発行を発表した。アイモバイル、GAファンドから計4億1860万円を調達。アイモバイルとは資本業務提携を行った。
既存株主からの株式取得も合わせると、アイモバイルはLooopの発行済株式総数の4.14%に相当する260万株を取得。取得価格は4億9900万円となっている。
Looopとアイモバイルは今後、電力小売事業を拡大するアプリの開発、開発したアプリにおける広告配信サービスの提供を進める。アプリ上の広告を見ると、電気料金が安くなるなどの活用が考えられるだろう。詳細は「これから検討する」(Looop広報担当者)としているが、両社のリソースを生かして新たな価値の提供を目指すとした。
3年以内に顧客100万人を目指す
Looop社長の中村創一郎氏によると、両社の資本業務提携は“焼き鳥屋”でアイモバイル社長の田中俊彦氏と話したことがきっかけとする。2016年10月当時、Looopはある課題を抱えていた。中村氏は「1年目は顧客が順調に増えていたが、金融機関からの借り入れで会社を回していた。当社は利益が出るビジネスモデルであるが、どうしても資金負担が多く発生するためリスクが大きい。本来なら上場して出資を募り、その出資を広告出稿や顧客獲得に当てていきたいと田中氏に相談していた」と語る。
そこで田中氏から「2年目がブランディングにおける勝負の年」とアドバイスをもらったことから、中村氏は上場を目指すと同時に出資先を探し始めた。同年12月に行われた2度目の飲み会、夜遅くに田中氏から発せられたのは「Looopへの出資に興味がある」という言葉だった。そこから資本提携業務まで、とんとん拍子に話が進んだという。
「Looopは電力小売事業で4万人の顧客を獲得し、大幅に売り上げを拡大している。これまで再生可能エネルギーに関心は持っていたが、当社は異業種であるため深く関わることができなかった。大革命時代を迎えているエネルギー業界において、インターネット広告を通じて力になりたいという思いから、Looopへの出資を決めた」(田中氏)
「Looopの良さを多くの人々に知ってもらう最適な方法は、インターネットと考えている。今回の業務提携で、専門家であるアイモバイルと一緒にアプリの開発に取り組むことで、地方も含めてより多くの人にLooopを知ってもらう機会としたい」(中村氏)
中村氏が見据えるのは6万、8万件といった顧客規模ではない。アイモバイルと手を組むことで、目指す顧客規模は「3年以内に100万件」(中村氏)と強調した――。
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