国内の蓄電システム、2024年度までの市場予測をみる:蓄電・発電機器
シード・プランニングは、国内の定置用蓄電システムの市場動向に関する調査結果を発表した。住宅用、業務用、公共産業用蓄電システムの市場規模は、2016年度と比較して5.6倍強の約3684億円になるという。販売台数は2016年度と比較して、11.4倍となる41万9500台になると予測した。
住宅用、業務用の蓄電システムで全体の74%
市場調査会社のシード・プランニングは2017年4月17日、国内の蓄電システムの市場動向に関する調査結果を発表した。住宅やオフィス、避難所、発電所などに設置される「定置用」を対象とした調査で、1kWh以上の製品を主要調査対象としている。キャスターが付いている可搬型(ポータブル)製品も定置用の対象となっている。
移動体に搭載されている電池や電気機器用の電池、電気自動車(EV)用電池は含まない。また大規模用(百〜数万kWh)の蓄電システムも含まれていない。
調査結果によると住宅用、業務用、公共産業用蓄電システムの市場規模は、2016年度(653億円)と比較して5.6倍強の3684億円になるという。戸建て住宅用蓄電システムが市場をけん引し、住宅用と業務用で2718億円と全体の74%を占めている。
公共産業用は「グリーンニューディール基金」向けが多くの割合を占めている。2015年度は90%超、2016年度は80%超だ。グリーンニューディール基金が終了した2016年度から市場が落ち込み、この影響は2017年度まで続くと見込んでいる。しかしVPP(バーチャルパワープラント)用途での出荷や、価格低下に伴う需要拡大により、2018年度から市場が回復。2020年度に360億円、2024年度には966億円まで成長するとした。
販売台数は2016年度(3万6900台)と比較して、11.4倍となる41万9500台になると予測している。政府が2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、「2020年までに標準的な新築住宅、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」といった目標が設定されている。そのためZEHを扱うハウスメーカーやビルダー、工務店が増加し、ZEHへの蓄電システム搭載率が向上することが見込まれる。同調査では2020年にZEHの約10%、2024年にはZEHの約40%に蓄電システムが搭載されると予測した。
市場拡大要因として、シード・プランニングは「2019年問題」も挙げる。2019年に太陽光発電システムの買い取り期間が終了する住宅は40〜50万戸になるとみられている。2020年以降も1年当たりに15〜30万戸の住宅で買い取り期間が終了するという。買い取り期間が終了した住宅では、買電から自家消費への移行が高まることが予想される。
また太陽光発電システムのパワーコンディショナー(PCS)を買い取り期間終了に合わせて、ハイブリッド型PCS蓄電システムに交換する動きが出ているという。シード・プランニングでは、買い取り期間が終了する設置者のうち、2019年度には15%程度、2024年度には30%程度が蓄電システムを導入すると予測している。
今回の調査期間は2016年5月〜2017年4月、主要企業へのヒアリングや公開情報などから調査を行っている。調査対象となった主要企業はエリーパワー、オムロン、シャープ、住友電気工業、積水化学工業、東芝ITコントロールシステム、長州産業、日本エコシステム、NEC、パナソニック、フォーアールエナジー、YAMABISHIの12社である。
なおシード・プランニングでは、今回の調査結果の詳細を調査研究レポート「2017年度版 定置用蓄電システムの市場動向調査」として販売している。
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