改正FIT法で認定失効の太陽光発電、全国45万件以上に:太陽光
経済産業省は2017年4月1日からスタートした改正FIT法に伴う認定失効について、全国で45.6万件が失効する見込みだと発表した。エリア別で最も失効数が多いのは東京の12.5万件となっている。認定失効見込みのほぼすべてが太陽光発電だ。
経済産業省は2017年4月からの改正FIT法の施行に伴う認定失効について、暫定推定値を発表した。太陽光発電を中心に認定を失う案件は全国で45.6万件、出力ベースに換算すると2766万kWにのぼる見込みだ。
改正FIT法の狙いの1つが太陽光発電を中心とした「未稼働案件」対策だ。従来の制度では、先に認定を取得し、その後に電力会社へ接続申込みを行う仕組みだった。その中で認定を取得しても、実際には建設が進まない案件が増加していた。中には転売を目的に高い買取価格で認定を取得しておくケースや、発電所に使用する部材のコストが下がるのを待つといったケースもあるとみられている。
そこで新しい改正FIT法では、設備認定の要件に「電力会社との系統接続契約の締結」を盛り込んだ。従来とは逆の手順とすることで、「空押さえ」を防ぐ仕組みだ。加えてこの新しい認定制度は、既に認定を取得している発電所にも適用される。さらに2017年3月31日までに系統接続契約ができない案件は、認定が失効する。一部の例外もある。2016年7月1日以降に認定を取得した案件は、系統接続契約までに9カ月間、系統入札プロセス参加もしくは参加中の案件は、プロセス終了後6カ月間の猶予が与えられる仕組みだ。
今回発表した認定失効の見込みは、以下のように算定している。まず、2016年6月末次点での新規と移行を含む認定数を母数とする。2017年3月末次点での接続契約締結済数と、猶予が与えられる系統入札プロセスに参加もしくは参加中の案件の合計を差し引いた数を認定失効見込みとしている。
なお、エリア別でみると最も失効数が多くなる見込みなのが東京で、12.5万件となっている。九州が10.2万件、中部が7.0万件と続いている。
なお、認定失効見込み数の母数となっている2016年6月末時点のFIT認定数は315.2万件で、このうち稼働済みは254.7万件としている。差分、すなわち未稼働の案件数は60.5万件となるが、経済産業省の発表ではこのうち60.4万件が太陽光発電となっている。今回の改正FIT法で認定失効が見込まれる案件のほとんども、太陽光発電とみられる。
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