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SOFC発電効率の高みへ、火力発電超える65%実証:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
東京ガスは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電効率を向上させる技術を開発したと発表した。5kW出力規模のホットボックスで、AC発電効率で65%LHV相当になることを実証したという。
実用化に向けて実証が進む業務用SOFC
SOFCに関する動向としては、業務用SOFCの動きが活発だ。経済産業省の「水素・燃料電池ロードマップ」では、2017年に業務用燃料電池の市場導入が目標とされている。このような背景から、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を中心にSOFCシステムの実証実験が行われ、導入効果の検証と課題抽出を行う事業が進んでいる。
2017年4月26日には、トヨタ自動車が円筒形のSOFCとマイクロガスタービン(MGT)を組み合わせたハイブリッド発電システムの実証を開始したと発表。同社の元町工場(愛知県豊田市)に設置し、エネルギー効率や運転性、耐久性の評価を行っている。
ハイブリッド発電システムは天然ガスを改質して取り出した水素と一酸化炭素を使い、SOFCとMGTそれぞれで発電する2段階の発電機構を採用した。定格出力は250kWである。発電で生じる排熱をエネルギーとして活用する熱電供給も採用している。2段階の発電によって発電効率は55%を達成。熱電供給も採用したことで総合効率は65%という。
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