「原発停止で落ちた自己資本比率を20%に」 九電が経営計画を発表:電力供給(2/2 ページ)
九州電力グループは、2021年度までの財務目標を発表した。自己資本比率を20%程度に回復させること、平均の経常利益を1100億円以上、成長事業への累計投資額4200億円を目指すという。
IPP事業はアジアを中心に
成長分野における事業では、特に海外電気事業の展開、アライアンスによる九州以外での自社電源開発、再生可能エネルギーに関するワンストップサービスに注力する。
海外事業で軸となるIPP(Independent Power Producer)事業では、市場の成長性が高いアジアを中心にガスや石炭火力、地熱を重点分野に、優良案件の開発と参画に取り組むという。2017年3月にはインドネシア サルーラ地区で、地熱IPPプロジェクトの初号機が営業運転を開始した。これは地熱資源開発から発電まで一貫して開発し、30年間インドネシア国有電力企業に売電する事業だ。出力は32万kW(キロワット)。九電が25%出資している他、伊藤忠商事、メドコパワー、国際石油開発帝石、オーマットが参画している。2017年中に第2号機、2018年には第3号機が運転を開始する予定である。
九州域外での自社電源開発に向けては、出光興産と東京ガスと共同で千葉袖ケ浦エナジーを設立。千葉県袖ケ浦市での石炭火力発電所開発に向けた検討と環境影響評価の手続きが進められている。総出力は200万kW、燃料は石炭(バイオマス混焼なども検討)である。1号機が2025年度、2号機が2026年度に運転を開始する予定だ。
再生可能エネルギー事業は、2014年に設立された九電みらいエナジーが推進している。福岡県豊前市で木質バイオマス発電事業に他2社と着手した他、福岡県北九州市の洋上風力発電施設の設置・運営事業者の公募においても、九電みらいエナジーなど5社で構成されるコンソーシアムが優先交渉者に選定されたと2017年2月に発表した。
強固な事業基盤構築に向けては、ICTによる業務改革の推進や働き方改革などを挙げた。なお経営計画の詳細は、九電のWebサイトから閲覧することができる。
関連記事
- 「真の電力会社」を目指す東京ガス、“大競争時代”2年目の戦略は
東京ガスは2017年度における取り組みを発表した。2016年4月の電力小売全面自由化によって“エネルギー大競争時代”の2年目に入った2017年度、ガス、電気、リキッドガスにサービスを加えた総合提案をより拡充していく。これにより契約件数累計100万件を目指すという。 - 電力会社とガス会社の競争さらに激しく、料金の値下げが加速
2017年4月に始まる都市ガスの小売全面自由化で、電気料金と合わせた値引き競争が激しさを増していく。家庭向けに都市ガスを販売できなかった電力会社がLNGの調達力を武器に攻めに転じる。電力と違って都市ガスの供給・保安体制を1社で整備することはむずかしく、新たな提携関係が拡大する。 - 電力産業の将来を示す「東電改革」、2017年から新事業計画に着手
難問が山積する東京電力の経営改革に向けて、政府が新たな対策に乗り出す。新設の委員会を通じて「東電改革」の具体案を年内にとりまとめる予定だ。並行して東京電力は中長期の事業計画を作り直し、他の電力会社を含む広範囲の提携を進めながら「非連続の経営改革」に挑む。 - 世界27工場の電力使用量を一括削減、省エネ施策を「見える化」で横展開
富士通はスタンレー電気が所有する世界の主要27工場の電力使用量を、リアルタイムに本社に集約し集中監視できるシステムを構築した。2015年7月から各工場に順次導入しており、現在は国内全工場で稼働を開始している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.