最大出力は2800kWから3000kWに
再生可能エネルギー事業を展開するJNCは2017年6月、熊本県御船町に所有する水力発電所「七滝川第二発電所」の改修工事が終了し、営業運転を開始したと発表した。
2014年3月に着工した改修工事の投資金額は約15億円。2台の水車発電機を1台にしたことで、取水量に対してより効率的に発電できるようになったという。同社の広報担当者は、その要因について「水量や落差のデータ、立地条件、発電所の運用を考慮すると、1台にした方が効率が良くなることが判明した」と語る。これにより、最大出力は2800kWから3000kWに増加した。年間発電量は一般家庭約4400戸分を見込む。
発電には「流れ込み式」を採用している。河川水からごみを取り除いた後、水路から水槽へ導き、水圧鉄管を落下させることで水車を回して発電する仕組みだ。大規模なダムを必要としないため環境負荷が低く、CO2排出量が少ないなどの特徴がある。
同社は2013年度から水力発電所の大規模改修工事を進めており、栗野発電所(鹿児島県湧水町)、七滝川第一発電所(熊本県御船町)、竹の川発電所(熊本県五木村)に続き、今回で4カ所目の営業運転開始となった。6カ所(川辺川第二、白川、高千穂、目丸、内大臣川、津留の各発電所)の改修も決定し、順次工事を進めているとした。
JNCグループは、先端化学企業として液晶材料や有機EL材料の研究開発、製造販売を基幹事業とする一方で、環境・エネルギー分野も重要な事業ドメインと位置付けている。国内に13カ所の水力発電所(最大出力合計9万3900kW)、4カ所の太陽光発電所(同1万6000kW)を保有し、再生可能エネルギーによる発電事業に取り組んでいる。
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