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まだまだ高コストな太陽光発電、システム費用低減を目指す新プロジェクト:太陽光(2/2 ページ)
欧米と比較して2倍以上高い水準にあるといわれている日本の太陽光発電のコスト。NEDOは調達等価格算定委員会が定めた今後の価格目標を織り込んだ、新たな低コスト化技術の開発プロジェクトを実施する。三洋電機やカネカなど3社に委託し、初期導入コストの低減や、発電量を10%高めてシステム効率を向上させられる技術の開発を目指す。
BOSコストの低減に向けたプロジェクトでは、10kW未満の住宅用で2019年にシステム価格30.8万円/kW以下、非住宅用で2020年にシステム価格20.0万円kW以下を実現する技術の開発を目指すのが目標だ。
委託先は三洋電機とカネカだ。三洋電機は建材一体化した太陽電池を利用した、住宅屋根向けの長寿命モジュールの開発を目指す。同時にこのモジュール向けの低コストな架台および施工技術の開発にも取り組む。既に建材一体型の太陽電池モジュールを開発しているカネカは、さらなる高耐久性化とBOSコストの削減を目指す。
BOSコストの低減を目指すプロジェクトの委託先は、カネカと公害技術センターだ。このプロジェクトでは、BOSコストは現状の水準を維持しつつ、システム全体での発電量を10%以上向上させることを目的としている。カネカは建築物の内部に設置し、採光を利用して発電できる太陽光発電システムの開発を目指す。壁面に垂直に設置する両面発電タイプ太陽電池モジュールを使い、太陽光を効果的に入射させて発電量の向上を図る仕組みだ。同時にこのシステムを低コストに設置できる施工技術も開発する。公害技術センターは、多雪地域用の非常電源機能付き太陽光発電システムの高効率化および低コスト化に取り組む計画だ。
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