風力発電の開発を低コスト化、ドローンで伐採せずに地表計測:自然エネルギー
テラドローンと大林組は、風力発電所の開発における地表面の計測にドローンを導入した。レーザースキャナーを利用し、樹木を伐採せずに地表面の形状を高精度に計測することに成功したという。
発電所やインフラ設備の建設の効率化に、ドローンを活用する手法が広がっている。ドローンサービス事業を手掛けるテラドローンは、大林組が北海道で進めている風力発電所の開発において、ドローンを利用したレーザー測量システムを導入したと発表した。樹木を伐採することなく、上空から地表面の形状を高精度に測量することに成功したという。
一般に、発電所などの建設予定地では、航空写真測量で森林の地表を計測する。その後、樹木の下にある地表面の形状を、樹木の高さと地盤高のデータから算出している。この手法だと、必要な部分に関しては森林を伐採して測量を行う必要がある。
しかし実際に施工を行うと、取得したデータの誤差が激しく、測量の段階からやり直しを行わければならない場合も多いのだという。その場合、工期の遅れとともに、数千万円単位の追加費用が掛かってしまう。
こうした背景から、樹木を通り抜け、直接地表を測量できるレーザースキャナーの活用が注目されている。地表で反射したレーザー光を検知することで、地表の高さや形を精密に計測できる。今回テラドローンと大林組がレーザースキャナーを搭載するドローンで実施した測量では、平場においては平均5cm程度、群集した植生下においても平均10cm以内の精度で計測できたという。
航空機でレーザー測量を実施するという選択肢もあるが、テラドローンによると、ドローンによる計測は航空機に比べて地表に近い低空で測量するため、より多くの地点で測量データを取得でき、費用も安く済むというメリットがあるとしている。
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