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北海道初の農業水路で小水力発電、売電収益で農業を守る自然エネルギー(2/2 ページ)

北海道の土地改良区で、道内初となる農業用水路を利用した小水力発電所が完成した。冬期はほとんど農業用水を使用しないため、施設の稼働期間が限定されてしまうという北海道特有の問題を、水利権の確保の工夫でクリアした。売電収益を改良区内の施設の維持管理費に充てることで、農家の負担軽減にもつながる。

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水路に改良を加えて発電量アップ

 「当永発電所」は石狩川に設置してある大雪頭首工から取水した後、導水幹線用水路を流下する過程で発電を行う。流水のかんがい期間は農業用水として利用し、非かんがい期間は石狩川に放流する。

 発電所の最大出力は139kW(キロワット)で、最大使用水量は6.25m3/s、年間発電量は70万8000kWh(キロワット時)を見込んでいる。FITを利用して売電することで、年間2000万円以上の収益が得られる見込みだ。

 当初の水路の落差は1.5m程度だったが、落差工の統廃合や水路敷高を上げることにより、総落差を3.5mにかさ上げし、発電量の増強を図った。損失落差を差し引いた有効落差は3.15mである。


施工前と施工後の水路の比較 出典:旭川建設部

 水車にはS型チューブラ水車を採用した。上流から取水した水で主軸とつながるランナベーンという装置を回転させる。これにより主軸が回転することで発電機が稼働し、電力を生む仕組みだ。


発電所の概要 出典:旭川建設部

導入したS型チューブラ水車(クリックで拡大) 出典:旭川建設部

 既設の農業インフラを利用した小水力発電を活用が、維持管理コストの低減につながるメリットは大きい。さらに、それによって土地改良区の賦課金が軽減されることで、農家経営の安定に寄与することも期待できる。

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