「世界最高」の効率26.63%を達成、実用サイズの結晶シリコン太陽電池で:太陽光
カネカは結晶シリコン太陽電池のセル変換効率で、「世界最高」(同社)となる26.63%を実用サイズの180cm2で達成。同社がもつこれまでの記録を0.3ポイント上回った。
カネカは、最も普及している結晶シリコン太陽電池のセル変換効率で、「世界最高」(同社)となる26.63%を実用サイズの180cm2で達成したと発表した。2016年に同社が達成した記録を0.3ポイント更新している。
この記録は、同社が開発を進めている結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バックコンタクト型)で得られた。ヘテロ接合バックコンタクト型は、ヘテロ接合技術とバックコンタクト技術を組み合わせた結晶シリコン太陽電池。ヘテロ接合技術は物性の異なる半導体材料を接合する技術で、結晶シリコンとアモルファスシリコンの組み合わせによる欠陥低減や、電気に変換できる光の波長が異なる材料を組み合わせることで変換効率を向上させることができる。バックコンタクト技術は太陽電池の裏側のみ電極をつくり電気を取り出す技術で、電極を裏面に集約することで、受光面を広くできるため、変換効率を高められるメリットがある。
なお、この成果については、Nature Energy(エネルギーに関するオンライン限定ジャーナル)で発表している。
また、同社が昨年達成した結晶シリコン太陽電池モジュールの世界最高効率である24.37%と併せて、2017年6月に各種太陽電池の変換効率の記録をまとめた「Solar cell efficiency tables (Version 50)」に世界最高値として掲載された。
カネカは太陽電池の変換効率向上、製造コスト低減、信頼性向上などの技術開発をさらに推し進める方針だ。併せて、今回の成果を活用した高効率太陽電池の製品の実用化に向け開発を進め、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)やネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)に貢献するソリューションの提供に注力することにしている。
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