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水車を3分の1にして出力増強、歴史ある水力発電所を大規模改修:自然エネルギー
東北電力が、新潟県の80年の歴史を持つ水力発電所の改修を実施。水車の台数を6台から2台に減らしながらも、出力を4700kW向上させた。【訂正】
東北電力はこのほど、新潟県阿賀町にある水力発電所「鹿瀬発電所」の大規模改修工事を完了し、営業運転を再開したと発表した。
鹿瀬発電所は、阿賀町を流れる阿賀野川流域に設置されたダム式の水力発電所で、1928年12月に営業運転を開始した。以来、電力の安定供給を行ってきたが、運転開始から約80年が経過し、経年劣化が進行してきたことから、継続して水資源を有効活用するため、2011年から改修工事を進めてきた。
今回の改修工事では、水車発電機の台数を6台から2台に見直している。これまで利用していた立軸フランシス水車に代えて、発電効率の高い立軸円筒可動羽根プロペラ水車(立軸バルブ水車)を採用することで、使用水量を変えることなく最大出力を4万9500kWから5万4200kWへ増加した。なお、有効落差は22.53m、使用水量は270m3/sとなっている。
さらに、ダムや取水口などの健全な設備の再利用に加えて、既設設備の取り壊しにより発生したコンクリートを再利用することで廃棄物の発生を抑制した。河川の汚濁防止のため、工事に伴い発生した汚濁水を適切に処理するなど、環境影響の低減にも努めた。
東北電力で、このような大規模な水力発電所の改修工事は、同じく阿賀野川流域に設置している「豊実発電所」に続いて2例目となる。
【訂正】記事公開当初、「270Nm3」と表記していましたが、正しくは「270m3/s」でした。お詫びして訂正いたします。
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