震災復興住宅に太陽光×蓄電池を導入、災害に強い集合住宅に:スマートハウス
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県女川町の集合住宅に、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメントシステムが導入された。
村田製作所、戸田建設、長瀬産業の3社は、宮城県女川町の震災復興住宅である「町営女川住宅」に、太陽光発電とリチウムイオンバッテリーを組み合わせたエネルギーマネジメントシステムを導入したと発表した。
東日本大震災での津波により多くの被害を受けた女川町では、住宅を高台に移転する取り組みが進んでいる。その1つである町営女川住宅では、災害に強く環境に配慮した住宅づくりの一環として、エネルギーを効率的に制御・利用できる設備が求められた。
今回導入したのは、太陽光発電とリチウムイオンバッテリー、パワーコンディショナー、HMESを組み合わせた「エネイース」。2017年4月に村田製作所と長瀬産業が共同開発したシステムだ。ハイブリッドパワーコンディショナー、小型軽量で壁掛け設置対応のリチウムイオンバッテリー、太陽光発電を組み合わせたシステムとなっており、発電量や消費量をスマートフォンでモニターできる他、停電時の自立運転への自動切り替え、システム異常発生時のメールアラート機能などの特徴がある。
町営女川住宅はRC造3階建ての1号棟、同6階建ての2号棟から成り、それぞれ19戸、67戸が入居する集合住宅。設計監理は戸田建設、施工は戸田建設と阿部和工務店の共同企業体(JV)が手掛けている。
エネイースは家庭向けのエネルギーマネジメントシステムだが、今回は複数セットを組み合わせて集合住宅向けのシステムとして構築した。エネイース1セットにおける太陽光発電システム出力は約3kW、リチウムイオンバッテリーの容量は2925Wh、パワーコンディショナーは3kWとなる。今回は、1号棟に太陽光システムを1セット、リチウムイオンバッテリーとパワーコンディショナーそれぞれ2セット、2号棟には全てを2セット導入している。
なお、エネイースの導入は今回が初の案件となる。3社は今後集合住宅だけでなく、事務所や倉庫、学校や病院などへの導入拡大を目指す方針だ。
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