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メキシコの発電所でデジタルツインを構築、設備故障を早期特定:エネルギー管理
三井物産とGEは、メキシコのガス発電所に産業向けIoTプラットフォームを導入し、プラントの計画外停止期間の極小化を目指す実証実験を開始する。
三井物産は2017年9月、メキシコのガス発電プラントで、米OSIsoftのPI Systemで構築したクラウド上の操業データ収集・分析環境と、GEが開発した産業向けIoTプラットフォーム「Predix」を導入し、プラントの操業改善および資産価値向上を目的とした実証実験を開始すると発表した。
実証を行うのは、三井物産が40%出資するメキシコの発電事業者MT Falcon Holdings(以下、ファルコン)が保有するプラント。プラントに設置されているセンサー群から送られてくる信号を解析し、システム上に再現した仮想的な発電所(デジタルツイン)上に精緻に再現することで不具合部分の早期特定を可能にし、発電プラントの操業改善を目指す。発電所で機器不具合に伴う計画外停止が発生した場合、年間数十万〜数百万ドルの補修費用、逸失収益が発生する。これらを最小限にとどめるようにすることで、事業収益性の改善が期待できる。
三井物産はGEと、GEの持つデジタル技術と発電機器製造のノウハウ、三井物産の持つ発電事業者側知見を合わせ、発電事業へのデジタル技術導入における成功基準を検証し、導入効果の見える化を推進。その延長として、新たなサービス型デジタル関連事業の確立を目指す覚書を締結し、デジタル技術を活用した産業顧客向けサービス事業の可能性を追求していくとしている。
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