電力スポット市場のエリアプライスを予測、日本気象協会が提供:電力供給サービス
日本気象協会は日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場における、全国9地域のエリアプライスの予測データを配信するサービスを開始。
日本気象協会は2017年10月、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場を対象とし、沖縄電力管内を除く全国9地域におけるエリアプライスの予測データ配信サービスを開始した。
日本気象協会では2017年8月から、スポット市場における30分ごとの電力取引価格(システムプライス)を、気象ビッグデータ分析と人工知能(AI)を使って予測するプライス予測サービスを、小売電気事業者や発電事業者などに提供してきた。システムプライスは、全ての入札を合成して需要供給曲線を描き、売買を成立させたときの約定価格のこと。約定結果によっては電力系統に流せる電力量の制約により、約定価格をエリアで分けて計算する必要があり、このときに算出される価格がエリアプライスだ。今回、多くの顧客からの要望に応え、全国9エリアのプライス予測にも対応することで、サービスを拡充した。
小売電気事業者は、計画値同時同量制度に基づき、必要な電力を事前に確保することが必要になる。発電事業者は自社で発電する電気を相対取引やスポット市場などを介して販売している。これれの事業者は、今回提供するエリアプライスの予測データを活用することで、全国9エリアの市場価格やそのエリア間の価格差を考慮した、より経済的・効率的な電力調達計画の作成につなげることができるとしている。
プライス予測サービスは、スポット市場での30分単位(1日48コマ)のシステムプライス、エリアプライスおよびスポット取引インデックスを予測し、オンラインで配信する。発表回数は1日4回。発表時間は受渡日の前々日14時、受渡日の前々日20時、受渡日の前日2時、受渡日の前日8時となっている。
なお、予測期間を延長した「週間予測」の配信サービスを、2017年冬に提供開始する予定だ。
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