大和ハウスが“Googleハウス”を提案、AI・IoTで住宅はどう変わるのか:スマートホーム
大和ハウス工業は2017年11月22日、同社のコネクテッドホームブランドとなる「Daiwa Connect」プロジェクトを発表した。Googleが提供するスマートスピーカー「Google Home」を"家"のインタフェースとして採用し、新たな住まい価値の提案を行う。
生活をより豊かにするだけでなく、よりバリアフリーにするコネクテッドホーム
大和ハウス工業は2017年11月22日、東京都内の住宅展示場で会見を開き同社のコネクテッドホームブランドとなる「Daiwa Connect」プロジェクトを発表した。2018年1月より、施主に対してDaiwa Connectを提案開始する予定としている。
Daiwa Connectは「戸建て住宅がIoT・AIを活用し、日本の住環境の課題解決を目指す」をコンセプトとして開発。これまでコネクテッドホームが抱えていた課題に、IoT機器の選択肢が少なくコネクト環境がない、暮らしがどう変わるか想像しにくく設定や操作が煩雑、生活の情報が守られているかというセキュリティ不安の3点があるとして、同社はDaiwa Connectでこれら要素を解決するという。
同社はハウスメーカーとして、IT活用を1996年から研究してきたことを紹介し、住環境におけるITに長年の経験を持つことを強調。経済産業省のスマートホーム実証にも参画しており、宅内の家具家電をクラウドシステムに接続するための統合WebAPI(アプリケーションプログラムインタフェース)やコントローラーを他の事業者と共に開発している。また、この実証で開発したシステムは、茨城県つくば市で同社戸建住宅に入居する30世帯に試験導入し検証を行うとする。
Daiwa Connectでは、"家"のインタフェースにGoogleが提供するスマートスピーカー「Google Home」を採用する。これにより、音声で家具家電の操作が可能になるため、操作の利便性向上や新たなライフシーンの提案が可能になる。発表では、「家を出る準備お願い」とGoogle Homeに声かけすると、カーテン閉、照明消灯、掃除ロボット起動が同時に行われるデモがあった。セキュリティ面でも専業のベンダーと共同でリスクマネジメントを行うとする。
今回デモ発表を行ったDaiwa Connectは第1世代であり、Google Homeと東京急行電鉄グループ会社であるイッツ・コミュニケーションズが提供する家電コントローラーを組み合わせ、IoT対応ではない家電も赤外線で制御することが可能となった。今後は、他のスマートスピーカーへの対応や、IoT機器とWebサービスを橋渡しするプラットフォーム「IFTTT(イフト)」や「myThings」との連携を検討するとして、将来的には家財維持管理への活用など、他の製品よりも長いライフサイクルを持つ家にふさわしいIoT化を進めていくという。
同社は、Daiwa Connectのターゲットを30~40代の共働き世帯と定め、生活をより便利にするだけでなく、将来起こる"人と建物"の経年化にIoTでサポートできることを押し出したいと語る。初期費用は家電の購入費を除き、Google Home、家電コントローラーと2年間のサービス使用料で18万円を予定。実現したい機能は施主の希望により選択できるとして、「(初期費用に追加で)LDKクラスの家で50〜100万円程度を想定する」という。2018年上半期には、同社主力商品の戸建住宅「xevoΣ」にも搭載を予定しており、国内コネクテッドホーム市場でトップを目指すとする。
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