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電力取引の入札意思決定を支援、三菱電機が新技術を開発:電力供給(2/2 ページ)
三菱電機は、発電事業者・小売電気事業者向けに電力市場入札時の意思決定を支援する技術を開発したと発表した。発電事業者が本技術を利用した場合、一部条件では1%程度の利益増大と10倍程度の収益分布計算高速化が見込めるという。
今回開発した技術は、これまで経験知によって求めていた電力ポートフォリオや発生しうる収益の確率分布を、よりシステマチックに導出することを目的に開発されている。スポット価格など不確実な要素をモデル化することで電力ポートフォリオを最適化し、収益分布を高速に計算し評価できるという。
不確実要素モデル化による電力ポートフォリオ最適化では、価格変動を確率分布と遷移確率でモデル化し、収益の期待値が最大となるように、発電や販売計画に対して発電設備の運用、契約による電力調達や電力市場での取引の配分計画を計算する。これにより、不確実な条件下でも収益向上と安定化につながるという。
収益分布の計算も、従来は需要変動のシナリオを多数生成し、全シナリオについて電力ポートフォリオを当てはめて計算する必要があり、大きな労力がかかっていた。そこで開発した技術は、全シナリオから自動で抽出した「代表シナリオ」に対する電力ポートフォリオの評価結果を用いて重回帰モデルを生成。この重回帰モデルによって、全シナリオに対する電力ポートフォリオの収益分布が高速に計算できるという。
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