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薄膜太陽電池の製造が簡単に、非結晶のポリマー材料を新開発:太陽光
大阪大学らの研究グループは、アモルファス(結晶を作らず、乱雑に結合した状態)特性を持つ太陽電池材料の高性能化に成功。有機薄膜太陽電池の製造簡易化などへの貢献が期待できる成果という。
半導体ポリマーを塗布して作る有機薄膜太陽電池。現在主流の結晶シリコン系の太陽電池と比較し、変換効率の部分では劣るものの、柔軟かつ軽量で、製造コストの安さにメリットがあり、建材などへの適用が期待されている。
大阪大学産業科学研究所の家裕隆准教授らの研究グループは2018年1月23日、ドイツマックスプランク高分子研究所との共同研究で、アモルファス(結晶を作らず、乱雑に結合した状態)特性を持つ有機薄膜太陽電池材料の高性能化に成功したと発表。有機薄膜太陽電池の作製のさらなる簡易化が期待できるという。
これまで有機薄膜太陽電池の高性能化は、結晶性の材料が有利と考えられていた。例えば結晶性のポリマー材料を利用した場合、太陽電池の薄膜活性層における正孔と電子の移動が有利で、10%を超える光電変換効率が得られた例もある。
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