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台風発電は実現するか、チャレナジーが風車を2020年に量産へ:自然エネルギー(3/3 ページ)
次世代風力発電機「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発するベンチャー企業のチャレナジーは、事業成果報告・記者発表会を開催し、創業からの成果と今後の事業計画を発表した。2018年8月から新たに開始する10kW試験機の実証結果を踏まえ、2020年以降に量産販売を開始する狙いだ。
量産開始は2020年、IPOも狙う
今後は風車の量産体制構築のため資金調達も推し進める。2018年2月には第三者割当増資によって約2.8億円の資金調達を実施した。引受先はリアルテックファンド、三井住友海上キャピタルとTHKで、事業会社からの出資は今回が初になるという。
今後も資金調達を計画し、2019年度には5億円超の調達を予定する。これら資金によって、10kW機の量産設備投資や人員増強を行い、2020年には量産販売の開始を目指す。また、2025年をめどに100kW級、2030年をめどにMW級の垂直軸型マグナス式風力発電機を製品化する構想を示した。
チャレナジーでは、2021〜2022年度をめどにIPO(株式公開)も目指している。IPOを見据えた販売計画について清水氏は、「2018年に10機程度、2019年に40〜50機程度、(量産が開始する)2020年には100機クラスの受注を見込む。(この見込みは)日本とフィリピンの市場情勢から判断しているが、世界的に風力発電市場は伸び傾向にあるので、もっと上を狙えるかもしれない」と自信を見せた。
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