太陽光で発電する水洗トイレ、汚泥処理いらずの“完全独立型”:太陽光
ニシム電子工業が太陽光と蓄電池を利用した独立電源型の水洗トイレを開発。微生物処理により汚泥を除去するくみ取り作業も不要にした、完全独立型のトイレという。
上下水道設備や電気が不要――。九州電力グループのニシム電子工業(福岡市博多区)が、ユニークな水洗トイレ「TOWAILET(トワイレ)」を開発した。太陽光を利用する独立電源システムで駆動し、排せつ物は微生物で分解処理するため、くみ取り作業も不要という“完全自己処理型”をうたう水洗トイレだ。
トワイレの外形寸法は2140×2920×2510mm、重量は1.5トン。出力1.5kW(キロワット)の太陽光パネルと8kWh(キロワット時)の蓄電池を組み合わせた独立電源システムを備える。そのため、電源がないところにも設置できる。
長期の利用でも、排せつ物がほとんど出ない独自の処理システムも特徴となっている。約3トンのタンクに貯めた水で汚物を流し、微生物によって分解処理を行う。特許出願中の独自技術で、残った汚泥が小さく分解されるまで処理を繰り返すため、10年などの長期使用においても汚泥がほとんど出ず、処理後に残る汚泥のくみ取り作業が不要という。さらに、フィルター処理で大腸菌や不純物を取り除き、水を再利用できる仕組みのため、上下水道も必要ない。1日当たりの処理能力は約300回で、設備のメンテナンスは年1回程度で済むという。
この他、タブレット端末やPCからトイレの稼働状況を確認したり、緊急呼び出しなどを確認できる機能も備える。
こうした独立電源システムを備えるトイレを開発は、東日本大震災を受け、熊本赤十字病院と九州電力が太陽光などの自然エネルギーのみで機能を維持できる「スマートシェルター」の研究開発に取り組んだことがきっかけという。この研究をニシム電子工業が引き継ぐかたちで製品化した。
トワイレの販売開始は、2018年度中を計画している。災害時の避難所やイベント会場、観光地などでの需要を見込み、販売価格は標準タイプで700〜800万円程度を予定している。
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