新電力が仮想通貨のマイニング事業に参入、太陽光の余剰電力も生かす:電力供給サービス
地域新電力の熊本電力が仮想通貨のマイニング事業に参入。マイニング環境とともに、格安な電力を供給するという。
地域新電力の熊本電力は2018年2月、仮想通貨のマイニング事業を行う新会社OZ(オズ)マイニングを設立すると発表した。OZマイニングがデータセンター型やコンテナ型、クラウドなど顧客に合わせたマイニング環境を提供し、熊本電力が格安な電力を供給するという。地域新電力が仮想通貨のマイニング事業に参入するのは初としてる。
「ビットコイン」などで知られる仮想通貨は全ての取引記録を、ネットワーク上に分散保持される取引台帳(ブロックチェーン)に記録している。ただし、こうした取引台帳への記録には、膨大なデータを処理していく必要がある。そこで、これらのデータ処理を事業者が請け負い、対価として仮想通貨を受け取るのがマイニング(採掘)と呼ばれる作業だ。
しかし、マイニングを行うためには、複数のサーバを利用し、膨大な計算を行う必要がある。つまり、多くの電力が必要になり、その費用が課題になるという。
オズマイニングはマイニングを行う事業者に対し、オズマイニングでは、データセンター型、どこでも設置できるコンテナ型、大型のマイニングファームと呼ぶマイニング施設などを、顧客に応じて提供する方針。これらの施設に熊本電力が供給する電力は、供給エリアや季節などによって異なるが、1kWh(キロワット時)当たり10円台から提供する方針。同時に電源の確保も進めていくとしている。
九州など太陽光発電所が急増した地域では、一般電気事業者による出力抑制も検討されている。熊本電力では、出力抑制時ににする余剰電よくをマイニング事業向けに活用し、余剰電力の有効利用も図るとしている。
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