電力をブロックチェーンで個人間取り引き、みんな電力がプラットフォーム開発へ:電力供給サービス
みんな電力は、Aerial Lab Industriesと共同で、ブロックチェーン技術を活用したP2P電力取引プラットフォームの開発を始めた。従来の料金メニュー型による電力販売で実現できなかった新たなサービスの提供を行う。
みんな電力(東京都世田谷区)はAerial Lab Industries(東京都港区)と共同で、ブロックチェーン技術を活用した個人間で電力の取り引きが行えるプラットフォームの開発を開始した。現在、発電量30分値をトークン化して需要家に配分する基本概念設計を終え、個人間での電力のP2P取引を模擬したシミュレーション試験を開始するという。
開発するP2P電力取引プラットフォームでは、バランシンググループにおける各発電所の発電量(30分値)をリアルタイムにトークン化し、これをあらかじめ定めた優先順位に従って、需要家の電力消費に配分した結果をブロックチェーンによって信頼性の高い形で記録する。これにより、各発電所の電力がどの需要家に消費されたか(購入されたか)を個別にトレースできるようになるという。
同プラットフォームにより実現する主な機能として、電源由来の特定や、個人・企業間での電力直接取引、電源価値の売買などがあるとする。
電源由来の特定は、需要家が消費する電力が再生可能エネルギーなどの特定の電源で発電された電力と同量の電力を消費したことの確認が可能だ。ただし、電力自体は系統に流入することによりその他の電源由来の電力と同一託送されるため、あくまで仮想的に電力の消費量と発電量がマッチしていることを確かめる仕組みとなる。本機能により、例えば「RE100」企業が非化石証書の利用に合わせて、電源の由来証明の発行が可能になるとする。
電源価値の売買は、将来その電源が発電する電力の価値を裏付けに電源そのものの価値をトークンとして売買するもの。これにより、発電事業者は資金調達と売電先となる顧客開拓への活用、需要家ではトークンを保有することで将来その電源からの電力購入を一定額で決済できる権利を取得するなど、新しい電力購入形式を提供するという。
今後、同社はこのP2P電力取引のプラットフォームをベースとして、料金メニュー型の電力販売での実現できなかった新たなサービスの提供を行うとする。同シミュレーション試験結果を踏まえ、発電事業者や需要家、小売電気事業者などの開発協力メンバーを募集し、パイロット実証試験を実施する予定だ。
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