重い鉛電池を代替、マツダなどが自動車補機用リチウムイオン電池を開発:電気自動車
マツダ、エリーパワー、宇部興産は、自動車用12Vリチウムイオン電池に関して共同開発契約を締結したと発表した。鉛電池の代替を目的とし、高温や衝撃に対する安全性、耐久性の高いリチウムイオン電池の共同開発を進め、2021年までの実用化を目指す。
3社の技術を生かして開発を進める
マツダ、エリーパワー、宇部興産は、自動車用12Vリチウムイオン電池に関して共同開発契約を締結したと発表した。自動車の始動や補機駆動用として現在利用されている鉛電池の代替を目的として、高温や衝撃に対する安全性、耐久性の高いリチウムイオン電池の共同開発を進め、2021年までの実用化を目指す。
自動車の始動・補機用電池は、環境規制による鉛使用の禁止や燃費改善に向けた軽量化などの課題に対応するため、従来の鉛電池から代替可能なリチウムイオン電池の実用化が期待されている。しかし、始動・補機用電池は主にエンジンルーム内に搭載されるため、高温や事故発生時の衝撃に耐えるリチウムイオン電池の開発は困難であり、これまでは限定的な採用にとどまっていた。
今回の共同開発では、3社それぞれの強みを生かしてこの課題を解決する技術の開発を進める。SKYACTIV開発で培った開発対象物をコンピュータ上でモデル化し開発を行う「モデルベース開発」技術を持つマツダは、電池内部の化学反応をモデルベース開発で研究するとともに、このリチウムイオン電池を管理する技術の確立とその汎用モデルの開発を担当する。
エリーパワーは、既に二輪車始動用リチウムイオン電池を国内大手二輪車メーカーに提供しており、低温下での動作性や耐衝撃性、防水性などを備えた安全性の高い電池の開発技術を持つとして、本取り組みでは電池の基本設計と開発を担当する。
また、リチウムイオン電池の主要部材である電解液とセパレーター開発技術に強みを持つ宇部興産は、今回の開発において電解液を担当し、引火点を高く引き上げた電解液により高温に耐えるリチウムイオン電池の実現に貢献する。
3社は共同開発で培った技術を基に、始動・補機用以外の自動車電動化へ適用可能な24V、48Vの低電圧系リチウムイオン電池開発へ発展させるなど、将来的にさまざまな分野での協業も検討するとした。
関連記事
- 国内初のリチウムイオン電池フォークリフト、鉛電池に比べ充電時間8分の1
豊田自動織機とトヨタL&Fカンパニーは、日本初となるリチウムイオン電池搭載の電動フォークリフトを発売する。積載量は1.35〜1.8トン。 - リチウムイオン電池の性能を3倍に、金属シリコン負極の改良に成功
GSユアサは金属シリコンを主体とする電池負極の改良に成功。実際の電気自動車に搭載されるサイズのリチウムイオン電池に適用し、エネルギー密度を3倍に高めることに成功したという。 - 東芝がスズキに蓄電池、新型ワゴンRの燃費改善
軽自動車の燃費改善は限界に近い。東芝はスズキに高出力の新型リチウムイオン蓄電池セル「SCiB」を供給。スズキがハイブリッドシステムを改善することで、燃費33.4キロメートル/リットルを実現した。 - 通信基地局や小型電源に適したリチウムイオン電池パック
NECエナジーデバイスが48V/2kWhリチウムイオン電池パックの販売を開始。広い温度特性による多様な設置環境と長寿命性、容易な拡張性、様々なシステムで使用できる汎用性と信頼性など通信基地局や小型電源向けに適した特長を持つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.