大規模太陽光向けパワコンは1500Vが主流に! 世界のトレンドが見えてきた:太陽光(2/2 ページ)
大規模太陽光発電所の高電圧化が進んでいる。かつては600Vシステムが一般的だったが、やがて1000Vが主流となり、いまや新設大規模案件の多くが1500V仕様になろうとしている。この動きを加速させているのは、海外のパワコンメーカーだ。「スマートエネルギーWeek2018」で、各社の動向を探った。
パワーエレクトロニクスはモジュール式の集中型
パワーエレクトロニクスジャパンが展示する1500Vパワコンは、3300kW機「HEM」。集中型パワコンだが、内部は8つのモジュールから構成された分散的な回路構成となっている。各モジュールは独立して機能するので故障リスクが小さく、集中型パワコンとしては、トラブル時の売電ロスも最小レベルに抑えられる。
モジュール交換が容易で、高度な技術を必要としないので、O&Mコストの削減を図ることもできる。さらに、革新的な空冷システムの開発により、IP65等級の耐環境性能を実現しているという。同社パワコンは欧米においてトップクラスのシェアを誇り、1500Vシステムにも豊富な実績を有している。日本にあっても、1500Vパワコンのリーディングカンパニーを目指していく考えだ。
分散型のメリットを追求するファーウェイ
分散型パワコンの有力メーカーとして知られるファーウェイは、1500V仕様においても分散型の優位性をアピールする。今回、展示されたのは1500V・定格出力62.5kWの新製品「SUN2000-63KTL-JPHO」。幅1075mm×高さ605mm×奥行き310mm・重量77kgと小形軽量であるため、設置場所を問わないのが大きな魅力だ。
1500Vシステムの導入が見込まれる大規模太陽光発電所には、当然、広大な土地が必要となる。しかし日本では、平たんな適地には既に太陽光発電所ができており、今後は山間部など立地制約の大きい土地をターゲットにせざるを得ない。容易に搬入でき、まとまった設置スペースを必要としない分散型パワコンにはメリットがある。2MWメガソーラーの場合なら、同製品32台が分散して設置される。一定のストリングごとに各パワコンで制御するので、仮に1つのパワコンに不具合が生じても、発電システムに与える影響は極めて限定的だ。
分散と集中のメリットを融合させたサングロウ
サングロウ・ジャパンの1500Vパワコンはユニークだ。今回、発表された「SG111HV」は、定格出力111kWの分散型でありながら、集中型パワコンのメリットも併せもつ。複数のパワコンを発電所各部に分散して設置するのではなく、1カ所にまとめて設置することができるのだ。遠くにある各パワコンから、それぞれに交流ケーブルをひいてくる必要がないので、ケーブル費用も工事費も安くなるという。同社では、これを“バーチャル集中型パワコン”と呼んでいる。
この方式なら、パワコンの点検や修理・パーツ交換も簡単だ。分散設置のように広い発電所内をあちこち移動することはなく、作業が効率よく行えるので、O&Mコストも抑えられる。もちろん、発電システムを分割制御することで、トラブルの影響を最小化できるという分散型パワコンのメリットはそのままだ。分散型パワコンにも集中型パワコンにも定評がある、サングロウならではのソリューションといえるだろう。
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