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50年の歴史ある地熱発電所を改修、出力を2000kW増強:自然エネルギー
九州電力が「大岳地熱発電所」(大分県九重町)の改修工事に着手。国内初の熱水型シングルフラッシュ方式として1967年に運転を開始した地熱発電所で、出力を2000kW高める。
九州電力は、国産エネルギーとして地熱資源の有効活用を行うため、定格出力1万2500kW(キロワット)の「大岳地熱発電所」(大分県九重町)の老朽化した発電設備の更新工事に着手した。定格出力を2000kW増の、1万4500kWに引き上げる。
大岳地熱発電所は1967年に国内で最初の熱水型シングルフラッシュ方式の地熱発電所として営業運転を開始し、これまで50年にわたり稼働してきた。今回の更新計画は、現在の生産井および還元井を継続して利用する。そのため、地下から取り出す地熱流体の量は変わらないが、設備の効率を高めて発電出力を向上させ、電力の安定供給および二酸化炭素排出量の抑制に貢献する計画としている。
なお、工事の実施にあたっては、既設発電所設備を運転しながら更新工事を行うことで停止期間を短縮し地熱資源を有効活用する。さらに、既設発電所敷地を最大限活用し可能な限り環境に及ぼす影響の低減を図ることとしている。更新後の運転開始は2020年12月の予定だ。
九州電力は大岳地熱発電所のほか日本最大規模の八丁原(大分県九重町、11万kW)をはじめ滝上(同、2万7500kW)、山川(鹿児島県指宿市、3万kW)、大霧(鹿児島県霧島市、3万kW)八丁原バイナリー(大分県九重町、2000kW)の各地熱発電所を保有し、全国の約4割の設備量を誇るなど、長年にわたり積極的な開発を推進している。
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