自動車販売店にリチウムイオン電池、災害時にもEVにエネルギー供給:電気自動車
三菱自動車がさいたま市に次世代販売店舗を整備。新たにリチウムイオン電池を設置し、周辺地域が停電した場合でもEVなどに電力供給を行えるようにする。
三菱自動車はこのほど、関東三菱自動車販売の「電動DRIVE STATION大宮店」を、さいたま市が地域のエネルギー安定供給施設として普及を進める「ハイパーエネルギーステーション」として再整備したと発表した。リチウムイオン蓄電池を新たに設置し、災害時に周辺地域が停電した場合にも電動車両向けに電力を供給できるようになった。
電動DRIVE STATIONは通常の店舗機能に加え、電気自動車(EV)やPHEV(プラグインハイブリッドEV)の意義や価値を広く知ってもらうためのプレゼンテーションツールやデモンストレーションコーナーを備えた次世代店舗。エネルギーや環境をテーマとしたワークショップや防災イベントの開催、防災に関する取り組みなどの地域情報を自治体と連携して発信する活動も実施している。2016年10月〜2017年度末までに28店舗を整備し、20年度までに200店舗を目指している。大宮店は2017年10月にリニューアルした。
ハイパーエネルギーステーションの整備事業は、さいたま市が国より地域指定を受けた「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の重点プロジェクトの1つ。電気などの次世代自動車用エネルギーを、災害時でも安定的に供給することができる施設を整備する官民連携の事業で、さいたま市が整備費の一部を補助する。この補助金は、不特定多数の者が利用できる電気自動車用充電器と、同設備もしくはガソリンなどの自動車燃料供給設備(ディスペンサー)を停電時に稼働させることが可能な太陽光発電設備とリチウムイオン蓄電池を導入する事業が対象となる。今回の大宮店への導入は民間施設では4例目、自動車ディーラーでは初めてという。
同社は、さいたま市が目指す「エネルギー問題や災害に負けないレジリエントな社会」の趣旨に賛同し、電動DRIVE STATIONを活用した防災啓発活動などを通じて地域社会に貢献することを目指す。
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