EVを生かすV2X技術を世界展開、竹中工務店と日立が協業:電気自動車
竹中工務店が独自開発のエネルギーマネジメントシステムの技術提供で日立製作所と協業契約を結んだ。電気自動車からビルや住宅などに電力を供給する「V2Xシステム」の構築を支援するという。
竹中工務店は2018年4月、独自開発のエネルギーマネジメントシステム「I.SEM」を幅広く展開することを目的に、日立製作所との協業契約を締結したと発表した。電気自動車(EV)からビルや住宅など、多様な用途に電力を供給する「V2Xシステム」について、日立が海外展開を検討するビルやインフラ向けシステムの構築を支援する。
I.SEMは、クラウド型情報プラットフォームに構築する一連のソフトシステムと、電気自動車(EV)を含む多様な電源を直流で統合し、建物に電力を供給するハードシステムで構成するエネルギーマネジメントシステム。ソフトシステムは、建物負荷の予測、空調や照明並びにEVや蓄電池の運転計画の最適化、デマンドレスポンスの機能を持っている。今回の協業契約は、世界的に広がるEVの普及とV2Xシステム(Vehicle to Building、Vehicle to Grid、Vehicle to Homeなど)拡大への期待を背景として、I.SEMを活用し複数台のEV充放電を最適制御した同社の実績と、日立製作所が検討するV2Xシステムの海外展開ニーズがマッチングしたものだという。
竹中工務店は国内で、2014年に複数台のEVの充放電管理を可能とするシステムの開発・実証に参加したのをはじめ、2015年には東京都江東区でEVの他に太陽光発電、ガス発電を統合管理するシステムを構築。現在もこれらの統合制御の対象として水素製造、貯蔵、利用のシステムを含めて実証を行うなど、V2Xシステムに関する技術の実証に取り組んできた。
これらの実績をもとに、I.SEMが持つ機能のうち、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて複数台のEV充放電を最適に制御する機能に関し、システム構築や運用上のノウハウを日立製作所に提供。日立製作所が海外での展開を検討しているビルやインフラにおけるV2Xシステムの構築を支援する。また、両社の協業を通して、建物と車の連携を発展させるエネルギーソリューションの海外展開を目指す。
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