AIでエンジン制御、水素やバイオ燃料を混焼可能に:太陽光
日立製作所が燃料の種別や混合状態に応じてエンジンを最適に制御するAI(人工知能)技術を開発。発電用エンジンの燃料として、バイオ燃料や水素などを組み合わせた効率的な発電が可能になるという。
日立製作所はこのほど、発電用エンジンのシリンダー内の圧力に関するデータ(筒内圧データ)を利用し、燃料の種別や混合状態に応じてエンジンを最適に制御するAI(人工知能)技術を開発した。同技術を活用することで、発電用エンジンの燃料として、バイオ燃料(エタノール、メタンなど)や水素などを組み合わせた効率的な発電が可能になるという。
今回、同技術を搭載したエンジンシステムを試作し、トルエンやエタノール、メタン、水素を燃料として混合燃焼させたところ、安定的な燃焼の基準とされる燃焼変動率3%以下での制御が可能なことを確認した。
そこで日立は、燃料の状態に即した点火タイミングや空気量などの指令値(燃焼制御値)の調整方法(燃焼制御方法)の学習と、学習用の筒内圧などのデータ収集を自ら繰り返す自己学習を組み合わせたAI技術を開発した。
開発した技術は燃焼状態を高精度に把握できる筒内圧データを用い、エンジンの点火タイミングや空気量などをニューラルネットワーク(人間の神経回路網の動作を模した処理モデル)により学習する。この学習結果を用いることで、燃料の種別や混合状態に応じた最適な燃焼制御値の算出が可能となる。
この算出された燃焼制御値の周辺で次の制御値候補を生成して、それらの候補で実際に熱効率の評価を行い、熱効率が高くなる制御値の基で実際にエンジンを運転しながら学習用データを自動的に収集する。
今回、同AI技術を搭載したエンジンシステムを試作し、トルエンやエタノール、メタン、水素を用いて混合燃焼させたところ、エンジン出力15kW(キロワット)の条件で熱効率は34〜41%となり、かつ安定的な燃焼の基準として知られる燃焼変動率3%以下での制御が可能なことを確認したとしている。
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