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落差273mで8800世帯分の電力を発電、長野県に水力発電所:自然エネルギー
中部電力は長野県で水力発電所の新設工事を開始した。2020年6月の稼働を予定しており、8800世帯分の年間使用電力量に相当する発電量を見込んでいる。
中部電力は2018年5月、天竜川水系黒川(くろかわ)および小黒川(こぐろかわ)の流水を利用した「清内路水力発電所」(長野県阿智村および飯田市)の建設工事を開始したと発表した。2022年6月の運転開始を予定している。
清内路水力発電所は、最大使用水量2.50m3/s(立方メートル毎秒)、有効落差約273m(メートル)を利用する流れ込み式水力発電所。発電出力5600kW(キロワット)、想定年間発電量は約2900万kWh(キロワット時)を見込んでいる。これは一般家庭約8800世帯分の年間使用電力量に相当するという。水力発電によるCO2削減量は年間1万3000トン程度を予想する。
同社は、エネルギー自給率の向上と温室効果ガスの削減に貢献するため、再生可能エネルギーの開発を積極的に進めている。水力発電についても、安定した発電電力量を期待できることから、引き続き、一般水力や維持流量発電所の開発に取り組む。
2018年3月には天竜川水系太田切川にある「新太田切水力発電所」からの放流水と未利用落差を活用した「黒川平水力発電所」(長野県宮田村)の建設を発表した。黒川平水力発電所は発電出力170kWの流れ込み式水力発電所で、2020年度に工事に着手し、2021年度に運転を開始する予定だ。この他、既設水力発電所の設備改修による出力および発電電力量の向上も推進する。
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