16.8万世帯分を発電する大型バイオマス事業、レノバがプロファイ組成:自然エネルギー
レノバが福岡県で計画するバイオマス発電事業でプロジェクトファイナンスを組成。出力75MWと大型のバイオマス発電所を建設する計画だ。
再生可能エネルギー事業を展開するレノバ(東京都千代田区)は共同事業者の住友林業、ヴェオリア・ジャパン、九電みらいエナジー、三原グループとともに準備を進めている苅田バイオマス事業(福岡県苅田町)で、このほどプロジェクトファイナンスを組成したと発表した。同事業は100%木質バイオマスを燃料とした出力約75MW(メガワット)の発電事業で、同種の発電所としては日本最大クラスの規模になるという。
このほど組成したプロジェクトファイナンスは三井住友銀行を主幹事とし、融資シンジケート団には地元企業の福岡銀行、福岡ひびき信用金庫をはじめ、佐賀銀行、第四銀行、中国銀行の5行、および第一生命保険、大同生命保険、日本生命、明治安田生命らが参加している。また、メザニンレンダーとしてJA三井リース、三井住友ファイナンス&リースに劣後ローンを提供してもらう。
同事業でレノバはリードスポンサーとして事業開発を推進する。また、住友林業グループは国内未利用材やパームヤシ殻(PKS)の供給を、ヴェオリアグループは発電所の運営を担当する。
今後はレノバなどが出資する苅田バイオマスエナジー(出資比率レノバ43.1%、住友林業41.5%、ヴェオリア・ジャパン10%、九電みらいエナジー5%、三原グループ0.4%)が事業者となり苅田バイオマス発電所の建設を2018年11月に開始。2021年6月から発電所の運転を始める予定だ。
年間発電量は一般家庭約16万8000世帯の年間使用電力量に相当する約50000万kWh(キロワット時)を見込む。売電単価は24円/kWh(一部32円/kWh)。燃料には木質ペレット、PKS、国内未利用材を用いる。
レノバは2000年5月に環境・エネルギー分野での調査・コンサルティング事業を創業し、2012年から再生可能エネルギーを利用した発電事業を展開している。現在、大規模太陽光発電所を12カ所(うち5カ所建設中)、バイオマス発電所を1カ所運営している。また、今回と同規模のバイオマス発電事業を他の地域でも推進中だ。さらに日本最大級の洋上風力発電所の開発も進めている。
関連記事
- 「竹はバイオマス発電に不向き」を覆す、日立が燃料化技術を開発
日本国内に豊富に存在するものの、ボイラーで燃焼させると炉内に「クリンカ」という溶岩を生成してしまうなどの特性から、バイオマス発電の燃料には不向きとされている竹。日立はこうした竹の性質を、一般的なバイオマス燃料と同等の品質に改質する技術の開発に成功した。 - 設備需要は頭打ちも、国内バイオマス市場は30年までに倍増
矢野経済研究所が国内のバイオマスエネルギー市場の推移予測を公表。市場全体は2020年度に向けて倍増し、さらに2030年度には3倍以上に拡大すると予測した。 - 住友林業が再生可能エネルギー事業を強化、レノバに出資
住友林業は再生可能エネルギー事業強化の方針を進めている。その一環として新たに再生可能エネルギー専業のレノバに出資し、協業により事業強化を図る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.