三菱商事がオランダで洋上風力の建設開始、総事業費1800億円:自然エネルギー
三菱商事がオランダで大型洋上風力発電の建設を開始。出力約73万kW、総事業費は1800億円で、2021年の運転開始を予定している。
三菱商事は、英国の100%子会社Diamond Generating Europe社(DGE、ロンドン)を通じて参画するBorssele(ボルセレ)III/IV洋上風力発電事業の建設を開始するとともに、同事業の株式の一部をスイスのインフラファンドPartners Group(バール)に譲渡したと発表した。
同事業は、オランダ沖合約22kmの北海海域で、Eneco社(オランダ・ロッテルダム)、Royal Dutch Shell社(オランダ・ハーグ)、Van Oord社(オランダ・アムステルダム)とともに4社で開発を進めてきたが、今後はPartners Groupを加えた5社体制で事業を推進する。総発電容量は約73万kW(キロワット)で、2019年中に洋上据付工事に着手、2021年の運転開始を見込んでいる。総事業費は約1800億円。
欧州では2030年までに5000万kWに上る洋上風力発電の導入が見込まれている。世界的にESG投資の気運が高まるなか、リスクが低減された段階で再生可能エネルギー事業への参画を図る事業者・機関投資家が多数いるという。今回の株式の一部譲渡は、建設前のリスクが下がった段階で参画を希望するPartners Groupと、資産入替えにより発電事業のポートフォリオの最適化を図る同社の戦略が合致したものだ。
三菱商事は、DGEを通じて欧州で同事業を含めルフタダウネン(オランダ、運転開始時期2015年、容量13万kW)、ノーザー(ベルギー、2019年予定、37万kW)、モーレイイースト(英国、2022年予定、95万kW)の計4件の洋上風力発電事業(総発電容量200万kw超)に参画している。これらを通じて蓄積した事業運営の経験を生かし、経済価値・社会価値・環境価値の三価値同時実現に資する案件に取り組み続けることで、2030年までに発電量の20%超えを再生可能エネルギー由来とする目標の早期達成を目指す。
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