木材チップのエネルギー利用が加速、輸入チップは15.2倍に増加:自然エネルギー
林野庁は2017年の木質バイオマスエネルギーとして利用された木材チップ量の速報値を公表。間伐材・林地残材等などに由来する木質チップの他、輸入された木質チップの利用量が大きく増加している。
林野庁は2017年の木質バイオマスエネルギーとして利用された木材チップの量(速報値)は、全体で前年比12.8%増の872.6万トンに達し、このうち間伐材・林地残材等に由来するものは同37.4%増の263.5万トンとなったと公表した。
林野庁は、木質バイオマス(木材チップ、木質ペレット、まき、木粉など)のエネルギー利用動向を把握するため、木質バイオマスをエネルギー利用している発電機およびボイラーを有する事業所を対象として、事業所の概要、利用した設備の動向、公的補助の活用状況、利用した木質バイオマス量について調査を実施している。2017年の調査では、調査対象として全国1447事業所のうち、1398事業所から回答があった。今回は、そのうち、木材チップの量について結果を取りまとめた。
2017年にエネルギーとして利用された木材チップのうち、「間伐材・林地残材等」に由来する木材チップは、263.5万トン(前年比71.7万トンの増加)、「製材等残材」に由来する木材チップは、150.1万トン(同4.9万トン減少)、「建設資材廃棄物」に由来する木材チップは、412.6万トン(同14.6万トン増加)となった。
また、輸入した木質チップの使用量は、前年比で約15.2倍となる13万4169トンとなった。国内で大型バイオマス発電所の建設が進むに伴い、木質チップの輸入量が増加している様子がうかがえる。
「間伐材・林地残材等」に由来する木材チップの利用量を都道府県別で見ると、利用量の上位5道県は、北海道(34.5万トン)、宮崎県(26.5万トン)、鹿児島県(19.8万トン)、大分県(18.7万トン)、岩手県(16.7万トン)となり、前年に比べ36道府県で合計74.7万トン増加する一方で、7県で合計3.0万トン減少した。
このうち、北海道(14.6万トンの増加)、宮崎県(8.9万トンの増加)、岩手県(7.7万トンの増加)、新潟県(6.9万トンの増加)、大分県(6.3万トンの増加)などでは、木質バイオマス発電施設の新設や本格稼働などにより、大幅に増加した。
なお、エネルギーとして利用された木材チップ、木質ペレットのうち間伐材・林地残材等に由来するものの量を丸太換算量でみると、2017年で591.5万立方メートル、これは木材チップ換算で579.6万立方メートル、木質ペレット換算で11.9万立方メートルとなり、前年比べ36.6%増で推移している。
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