オンサイト型の水素製造装置、30%低コストな新モデル:蓄電・発電機器
神鋼環境ソリューションはオンサイト型水電解式水素発生装置に新モデルを追加。従来機と比較し、約30%のコストダウンを実現し、設置スペースを約20%の削減したという。
神鋼環境ソリューション(神戸市)は、オンサイト型水電解式水素発生装置(HHOG)シリーズのうち、各構成機器をベース、フレームに配置したタイプである「スキッドマウントタイプ」をブラッシュアップし、新型「スキッドマウントタイプ」として2018年10月に発売する。新型スキッドマウントタイプは、水素ガス供給量が毎時20〜60Nm3(ノルマル立方メートル)であり、コストダウンと省スペース化、消費電力の低減を達成したという。
水素ガス供給量60Nm3/hの装置「SH-60D」の場合、従来機と比較し、約30%のコストダウンを実現し、設置スペースは、設置面積比で約20%の削減が可能となる。さらに、消費電力を約10%低く抑えた電気分解モジュールの採用により、水素製造効率の向上を図った。なお、その他装置の基本性能については従来機より変更はない。
神鋼環境ソリューションは、固体高分子電解質膜を利用した純水の直接電気分解によるHHOGを1993年に開発・商品化した。装置の起動と停止がスイッチ一つの操作で可能な操作性、装置内でのガス保有量が少なく水素と酸素の混合を防止するなどの安全性、純水を直接電気分解するため不純物量が少なく高純度(5N)などの特徴がある。これまで電子産業、金属工業、発電所、大学や研究機関などを含め、国内外で約170基(2018年7月末時点)の納入実績があるという。
近年HHOGは工業用途だけでなく、電気から水素への変換、水素でのエネルギー貯蔵に着目した再生可能エネルギーや余剰電力の有効活用を目的とする実証事業や、災害時を想定したBCPシステムなど、利用が拡大してきた。
また、国内のエネルギー政策では、水素利用社会の実現が目標とされており、今後水素の利用を飛躍的に高めていくことが求められている。その目標を達成するためには、水素製造の低価格化と供給方法の多様化を図ることが重要であり、同社では、新型スキッドマウントタイプが、それに貢献できるものと考えている。引き続き、同社は時代や社会のニーズに合った技術開発を行い、水素利用社会を目指し装置を提供する方針だ。
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