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落差270メートルで3200世帯分を発電、熊本県に水力発電所:自然エネルギー
九電みらいエナジーが熊本県で建設を進めていた水力発電所が完成。未利用の落差270メートルを利用して、年間3200世帯分に相当する電力を発電する。
九電みらいエナジーは、熊本県山都町で2016年7月から建設を進めてきた「鴨猪(かもしし)水力発電所」が、電気事業法に基づく使用前自主検査を終了し、このほど営業運転を開始したと発表した。
同発電所は、山都町菅地区を流れる緑川水系鴨猪川から取水するかんがい用水路(矢部土地改良区所有)の一部と未利用落差約270メートルなど、山都町の豊富な水資源を有効活用したもの。最大出力は1990kW(キロワット)で、最大使用水量は0.95m3/s(立法メートル毎秒)。年間発電電力量については一般家庭の約3200世帯分の使用電力量に相当する約960万kWh(キロワット時)を見込む。なお、当面は系統への接続条件により、発電時間帯を限定した運転を実施する。
鴨猪水力発電所を設置した場所は、地元のかんがい用水路の一部を利用するほか、矢部周辺県立自然公園内に位置している。そのため、今回は関係自治体や地元関係者と協議を重ね、かんがい用水路の適切な運用とともに道路に水圧管を埋設することで、発電所の周辺環境に配慮した計画とした。
同社の発電設備は、鴨猪水力発電所の営業運転開始に伴い、子会社運営分を含め太陽光発電所(13カ所、導入容量10万50kW)、地熱発電所(2カ所、9990kW)、風力発電所(1カ所、5万400kW)、バイオマス発電所(1カ所、1万1350kW)などの主要な再生可能エネルギー5電源がすべてそろうこととなる。
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