太陽光の電力をブロックチェーンで直接売買、関電や三菱UFJらが実証:IT活用
関西電力や三菱UFJ銀行らが太陽光発電の余剰電力を、ブロックチェーンを活用して直接取り引きする実証実験に着手。売買価格を決定できる、新たな取り引きプラットフォームの構築を目指すという。
関西電力、三菱UFJ銀行、日本ユニシス、東京大学は、電力の消費者とプロシューマー(生産者と消費者とを組み合わせた造語)同士が、太陽光発電によって生じた余剰電力の売買価格の決定および直接取り引きできるシステムの実証を開始した。
太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーなどの普及により、現在の電力供給システムは、従来の大規模集約型から自立分散型のシステムへ変化している。将来的には、電力の消費者とプロシューマーとの間で、専用のプラットフォームを介し、電力を直接取り引きする仕組みの構築も期待されている。
一方、金融をはじめ各業界でブロックチェーン技術の普及が進むことが予想され、電力の直接取り引きへ適用も期待されている。このため、今回、電力の消費者とプロシューマーの間で売買価格を決定できる新たなプラットフォームの実証研究を共同で行うこととした。
具体的には、関西電力の「巽実験センター」(大阪市生野区)で、太陽光発電設備を設置したプロシューマー宅で発生した余剰電力を、電力の消費者とプロシューマーの希望価格から、各種方式により取引価格を決定し、ブロックチェーンを用いて模擬的に取り引きを行い、複数電力消費者宅へ送電する。実証研究期間は2019年3月31日まで。
なお、電力の主な取引方式については、事前に単位時間ごとに高い価格から並べたコンシューマー側の買い注文と、低い側から並べたプロシューマー側の売り注文の交点で価格と量が決まるオークション方式、時間帯優先で、単位時間毎にコンシューマー側買い注文とプロシューマー側売り注文が合致するときに価格と量が決きまるザラバ方式、JPX電力卸市場に連動して価格が変動するダイナミックプライシング方式を予定している。
同実証研究で、日本ユニシスはシステムの開発を、関西電力は同実験センターにおいて実証システムの構築および実証を、東京大学は研究の評価および総括を担当する。また、三菱UFJ銀行は、決済や取り引きへのブロックチェーン適用に関するアドバイスを行う。
同実証研究を通じて、ブロックチェーン技術を用いた電力の直接取り引きにかかる知見を得るとともに、今後、一般家庭での検証や金融機関との連携など、より実践的な実証研究にもつなげる方針だ。
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